教科書を使い切る
小学校の授業は、教科書を使い切ると考えるだけで、実はかなりのことができる。誤解を恐れずにいえばICTすら不要かもしれない。
算数の場合は、まず教科書にある練習問題が全て解けることを目指す。
練習問題を解くというのは、単元の学習の時に解くだけでなく、あとから教師が突然「〇ページの〇番の問題を今から解いてください。」と指示して解かせても、いつでも正解できる状態をいう。
単元のまとめの問題がいつでも解けるだけでもかなりの実力である。
また今の教科書には巻末に応用問題や発展問題も掲載されている。
教科書の問題は、限られたスペースの中に必要な情報を適切に入れ込んである。厳選された問題だと考えていい。
これらの問題を全て解けるようになるには、何度か練習も必要である。同じ問題ばかりを解いても意味がないという人もいるが、受験勉強で薄い問題集を何度もやって完全に自分のものにしなさいという勉強方法があるくらいだ。
私の実感としては、単元が終わるまでに教科書の問題を(単元のまとめ問題を含めて)全て自力で解けるだけの力があれば、計算ドリルやプリントによる反復をせずとも、テストで90点は楽に取ることができる。
計算ドリルを何度もさせる教師が未だにかなりいるが、いらない。むしろ無駄であり、場合によっては学力を落とす危険すらある。
社会科の教科書は情報の宝庫である。
まず教科書をすらすらと音読する。その上で掲載されてある資料を全て読む。(全てである。)それだけで大人顔負けの情報収集ができる。これに地図帳が使えれば鬼に金棒である。
高学年で別冊の資料を買い足すことがあるが、いらない。あれば使う方法はいくらでもあろうが、なくても困らないし、その前に教科書という宝の山がある。
最近はここでもICTというが、教科書程度の資料も読み込めないで、他に手を広げても子どもたちには眺める時間が増えるだけで、読み取る能力がつくかどうかは疑わしい。
理科も同じである。
もちろん理科は実験や観察を実際にやった方がいい。その上で、教科書に書いてある文章を正確に読み、示された写真も全て読み取り、時折ついている読み物コーナーのようなものまで隅から隅まで読めればそれだけで一定の学力は身に着く。
まさに幸せの青い鳥は、目の前にいたのである。
教科書活用シリーズ
教科書活用1 情報の宝庫
教科書活用2 完成度
教科書活用3 見せない現場の教師
教科書活用4 道に迷う子どもたち
教科書活用5 見せない根拠が粗雑
教科書活用6 手順は教科書通りでいい
教科書活用7 子どものため・教師自身のため