水泳指導20 腕に水の抵抗を感じるか

 以上の練習を、まずは水中に立ち、肩まで水につけた状態で行う。

 気を付けなければならないことが多くなるので、続けていくうちに動きが雑になってくる。そのたびに教師は指摘することが必要である。

 繰り返すが、動きがスムーズになってきたら、スピードを上げる。実は上手になればゆっくり動かしても進むようになる。しかし初級の場合は、動きのリズム感をつかむ上で、一定のスピードを維持しないと、むしろ動きが悪くなる。

 一定量の練習ができたら、泳ぎながらの練習である。

 始めに行った「けのびからしばらくして手かき」の流れで行う。

 けのびは初めの蹴りに力を入れるが、後はリラックスして水に流れていく。動きが鈍くなってきたと感じたら、思い切り手かきを始める。

 この練習を繰り返し、「けのび5m+手かき2m」くらいまで泳げるようになれば、合格である。

 腕がだるくなってくると、ひじが曲がってくる。すると、手かきの推進力が落ちる。

 この時には、教師が泳ぐ子どもの前に立ち、「先生の手に、自分の指を突き刺すようにして泳いでごらん」と指示をして、手のひらを子どもに向けて出す。

 子どもの泳ぎに合わせて、教師は手を出したまま、後ろに下がっていく。子どもが腕を伸ばし、指先がぎりぎり突き刺さりそうな位置に、常に手のひらを置いて、子どもの腕が伸びるようにする。

 この方法で動きがスムーズになる子どもは増えた。体ごと前に行こうとする動きになり、流れるように動き出す。

 この段階では、まだ呼吸は取り入れなくていい。

 覚えるべき動きが多すぎて、雑になる。一つ教えたら一つ覚えるというわけではない。

 二つ教えたら、三つ目の時に一つ忘れる。だから三つしながら三つともできるように練習する。できたら四つ目を教えるが、この時にまた一つ忘れる。四つ同時にできるようになったら、五つ目・・というイメージである。

 教師が完成された動きの全体像がイメージされていれば、子どもの動きの乱れに気づくようになる。

全員25m完泳を目指す水泳指導ラインナップ

水泳指導 準備シリーズ 学年全員の指導をターゲットにします
 01 泳げることの向こう
 02 指導は5月に始まる
 03 指導の全体像
 04 子どもたちのエピソード
 05 指導の系統

水泳指導 浮きの指導シリーズ 苦手な子どもたちはここからていねいに指導します
 06 顔を水につける
 07 もぐる
 08 浮く指導
 09 浮く指導の小さなステップ
 10 ふし浮き
 11 けのび
 12 けのび微細な指導

水泳指導 息つぎの指導シリーズ 25m完泳しない大半の理由はここにあります
 13 息つぎ
 14 ボビング
 15 連続したボビング
 16 浮きと呼吸の連動
 17 浮きと息つぎの発展

水泳指導 ストロークとキックの指導シリーズ 協応動作という考えを水泳にも取り入れます
 18 キックとストローク
 19 ストロークどこを見るか
 20 腕に水の抵抗を感じるか
 21 キックの練習
 22 キックとストロークの連動
 23 ブレスをいれた泳ぎ 
 24 クロールのブレス

水泳指導 目標の25mへの指導シリーズ いよいよゴールへ向けて詰めの指導です
 25 完泳への力を蓄える
 26 目標25mへ
 27 完泳までの道のり
 28 酸素摂取能力

水泳指導 まとめシリーズ 学校全体で指導ができると負担軽減・効果倍増なのです
 29 保護者への話
 30 全校での指導
 31 全校での指導系統案

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