呼吸のために、顔を上げると体が沈む。
沈まないようにするために、顔を上げている時間をなるべく短くすることや、大きくあげすぎないことなどを指摘するが、それでも体は沈む。
すでに経験している子どもたちや、泳げる子どもたちに、これをさせても体はあまり沈まないのだが、まだこの練習を始めたばかりの子どもたちは、体が沈むのである。
一回目の呼吸で、体が沈み始める。その状態で二回目の呼吸をしようとすると、さらに顔を高くあげなければならない。それでさらに体が沈む。三回目の呼吸をしようとすると、下半身は沈み切ってしまっているので、続けることは諦めなければならなくなる。
初期はこういう段階である。
そこで次の練習を同時に入れ込む。
顔を上げて息を吸ったら、すぐにまた顔を水に入れる。入れたら、あごを引きおへそを見るような状態に戻す。(浮きの練習で行った方法である。)
この状態で待っておくと、再び体が浮いてくる。完全に浮き切るまで息を吐きながら姿勢を維持して待つ。
体が浮いたと思ったら、二回目の呼吸をする。
また体が沈むので、あごを引いて浮くのを待つ。この繰り返しができるようにする。
浮きと呼吸の連動の練習である。
これで連続5回の呼吸ができたら、合格である。
以前はこれを「だるま浮き」でやっていた。だるま浮きの方が確かに浮きやすいのだが、呼吸をするために一度体を開かなくてはいけない。その時に姿勢が乱れて、呼吸ができなくなることがあった。それで結果的に「連続だるま浮き」のプロセスは外している。
以前に、この練習をしていた時、一人の子どもがずっと連続して浮くことができるようになった。何回連続できるか挑戦させるために、そばで声をかけながら見ていた。
ずっと何度も連続してできるのだが、おもしろいことに呼吸をするたびに体を動かすので、少しずつ前に進んでいた。
繰り返しているうちに、練習を始めた場所から反対の場所までたどり着いてしまった。
つまり、その子は連続臥浮きをすることで、25m進んだことになる。こんな状態になることが分かれば、ストロークとキックの練習よりもブレスが大切なことが理解できる。
全員25m完泳を目指す水泳指導ラインナップ
水泳指導 準備シリーズ 学年全員の指導をターゲットにします
01 泳げることの向こう
02 指導は5月に始まる
03 指導の全体像
04 子どもたちのエピソード
05 指導の系統
水泳指導 浮きの指導シリーズ 苦手な子どもたちはここからていねいに指導します
06 顔を水につける
07 もぐる
08 浮く指導
09 浮く指導の小さなステップ
10 ふし浮き
11 けのび
12 けのび微細な指導
水泳指導 息つぎの指導シリーズ 25m完泳しない大半の理由はここにあります
13 息つぎ
14 ボビング
15 連続したボビング
16 浮きと呼吸の連動
17 浮きと息つぎの発展
水泳指導 ストロークとキックの指導シリーズ 協応動作という考えを水泳にも取り入れます
18 キックとストローク
19 ストロークどこを見るか
20 腕に水の抵抗を感じるか
21 キックの練習
22 キックとストロークの連動
23 ブレスをいれた泳ぎ
24 クロールのブレス
水泳指導 目標の25mへの指導シリーズ いよいよゴールへ向けて詰めの指導です
25 完泳への力を蓄える
26 目標25mへ
27 完泳までの道のり
28 酸素摂取能力
水泳指導 まとめシリーズ 学校全体で指導ができると負担軽減・効果倍増なのです
29 保護者への話
30 全校での指導
31 全校での指導系統案