水泳指導9 浮く指導の小さなステップ

体育授業のコツ

 教師につかまって、足を浮かせるところまで進み、ある程度脱力ができるようになったら、
「少しだけ手を離してごらん」
と話してみる。

「先生の手はこのままおいておくから、ぱっと離してみて。怖かったらすぐつかめばいいから。もしおぼれそうになったら先生の方がつかんで、がばっと起こしてあげるよ。」

 子どもが手を放したら離したらカウントする。「1,2,3!」子どもが手をつかんだところで「ほら、3も手が離せた。今度は4だよ。」とすかさず次の挑戦をさせる。

 繰り返していくうちに少しずつステップアップする。子どもがつかんでいる教師の腕は今ひじの関節当たり。これを上腕から手首へとずらしていく。
 苦手な子どもにはこれくらいの超スモールステップでいいのだ。その代わりに一回するごとにどんどんステップアップする。

 やがて、互いに手を握るくらいでもできるようになる。その間も、何度も自分から手を離す練習をさせる。
 そして、教師の片手に子どもが両手を乗せるくらいまでにステップアップしたら、もう自分で浮けるまであと少しである。

 慣れが早い子どもは、この間にどんどん浮けるようになる。できる子どもたちには、その回数をともかく増やさせる。
 時間いっぱい活動ができるように促す。苦手な子どもほど、放置しておくと体を動かさなくなる。これは体育の学習全てに言える。
 子どもが体を動かすように、授業を組み立てることは、教師の重要なスキルである。

 浮けるようになるころに、同時に立ち方も教えておかないと、子どもの恐怖感は続く。

「頭をあげて、手をブンと後ろに回すと、ひょいと立てるよ」と教える。多くの子どもたちは意外にもすぐにできるようになる。

 何人かはおなかを支えるなどして、サポートをするといい。

 浮けるようになれば、子どもさえその気になれば25mを泳げるようになる。子どもにも話している。同じ話をする。半信半疑で私を見るが、ここから先の子供の成長は実に速い。

全員25m完泳を目指す水泳指導ラインナップ

水泳指導 準備シリーズ 学年全員の指導をターゲットにします
 01 泳げることの向こう
 02 指導は5月に始まる
 03 指導の全体像
 04 子どもたちのエピソード
 05 指導の系統

水泳指導 浮きの指導シリーズ 苦手な子どもたちはここからていねいに指導します
 06 顔を水につける
 07 もぐる
 08 浮く指導
 09 浮く指導の小さなステップ
 10 ふし浮き
 11 けのび
 12 けのび微細な指導

水泳指導 息つぎの指導シリーズ 25m完泳しない大半の理由はここにあります
 13 息つぎ
 14 ボビング
 15 連続したボビング
 16 浮きと呼吸の連動
 17 浮きと息つぎの発展

水泳指導 ストロークとキックの指導シリーズ 協応動作という考えを水泳にも取り入れます
 18 キックとストローク
 19 ストロークどこを見るか
 20 腕に水の抵抗を感じるか
 21 キックの練習
 22 キックとストロークの連動
 23 ブレスをいれた泳ぎ 
 24 クロールのブレス

水泳指導 目標の25mへの指導シリーズ いよいよゴールへ向けて詰めの指導です
 25 完泳への力を蓄える
 26 目標25mへ
 27 完泳までの道のり
 28 酸素摂取能力

水泳指導 まとめシリーズ 学校全体で指導ができると負担軽減・効果倍増なのです
 29 保護者への話
 30 全校での指導
 31 全校での指導系統案

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