本当は「黄金」は三日間だけではない
「黄金の三日間」という言葉は、すでに学校現場に定着して久しい。
その解釈がさまざまであれ、新年度を「のんびり始めればいいよ」という感覚はかなり減ってきたと言えるだろう。
しかし、新年度のスタートを経験したことのある教師なら、分かっていることであろうが、実は黄金が三日で終わるわけではない。
四日目が突然普通の日になって、その時にできなかったことがあれば、一年間はもうおしまいであるということもない。
確かに、日々黄金の輝きは確実に色あせていく。
「明日でも大丈夫」「こんどやろう」などと思っているうちに、学級の空気があっという間に変化していく。
しかし、四日目にも五日目にもやるべきことはいくらでもある。
むしろ、そこからの方がやることがはるかに多い。三日で全てを終えられるわけがない。
ここから「黄金の三日間」というキーワードを二つの方向で解明する。
一つが、「黄金の三日間」とはベクトルの方向であるということだ。
単純な一次方程式y=axの式を考える。
定数aに2が入れば、y=2x、しかし5が入るならy=5xとなる。
この差は、例えばx=1の時には大した差に見えないが、xの値が増えるほどに、差は開くばかりである。
つまり、初めの三日間で定数を決める作業が「黄金」の意味なのである。
もう一つは、三日を起点にして四日目以降の設計を怠らないことである。
特に大型連休明けまでをまずは想定して、可能な限り綿密な準備をすることである。
次第に色あせていくとは言え、しばらくはまだ黄金の輝きを維持する。その貴重な時間を無駄遣いしないための設計図が必要なのである。
多少抽象度の高い話になったので、以後具体的に話を詰めていくことにする。