学期の時数を見越しておく
授業をしていると、時間の感覚が分からなくなってくることがある。
学期末、残り一か月になったとする。
「あと一か月ある」と考えるときに、これだけ時間があれば何でもできそうな気がする。
しかし、国語の計画を考えるときは、国語のことしか考えていない。国語のことだけを考えれば、一か月もあれば、余裕である。
今度は、算数の計画を考えるときには、算数のことしか考えていない。先ほどの国語ですでにいくらかの時数を使っていることを同時にイメージするのは難しい。
だから、算数だけを考えて、これまた余裕がありそうな気がしてくる。
同じことが、社会にも、理科にも、学校行事にも言える。ばらばらに考えると、それぞれは何とかやれそうな気がしてくるのだ。
大雑把な感覚で見ていると、つい甘い方向に考えてしまう。
これを、毎日の時間割の中に割り振っていくと、各教科の時数がいかに少ないかびっくりする。
あと一か月あっても、どの教科も30日できるわけではない。頭で分かっていても実際に数字に起こすまで実感がわかない。
その上、「あと一か月」という時に頭の中には「30日」を思い浮かべてしまうが、土日に学校には行かないので、実際は20日あまり。
あと一か月などと漠然と考えるのではなく、もっと具体的な数字をはじき出しておかないと大変なことになる。
一定の経験を重ねると、そのあたりの感覚が何となく分かってくる。
このくらいの時期には、この程度のことが終わっていなければまずい、というイメージが漠然とわいてくる。
それでも、あいまいな部分は出てくる。
どう対応するかというと、授業の方をざっくりと終わらせることになる。
ベテランの授業の進み具合を見て、自分も同じくらいだから大丈夫だろうと安心しているうちに、いつのまにか、「もうその単元は終わったよ。」と言われてしまうことがある。
良くも悪くも、ベテランの授業の進み具合を勝手に解釈してはいけない。(笑)
しかし、学期末の突貫工事の方法を身につけるよりは、全体を通した時間管理の方法を身につけた方が絶対にいい。
学期の始めから、適度なペースで単元を消化しつつ、コンスタントに授業を進めていく方が、日々の授業が安定する。学力も定着しやすいし、教師も子どももストレスが少なくて済む。
そこで、以下の提案である。
1学期の時間割全てを、4月のうちに全て作ってしまう。
とりあえず全て作ってしまって、後はそれを修正しながら進めていく。
これを紙ベースでしようと思うと、はっきり言えば無理である。4月の1時間の修正のために、7月までの時間割全てを書き直すことはできない。できても、無駄な時間がかかりすぎる。
それがエクセルなどデジタル処理すれば、可能である。