子どもにとっても効果がある
これは別の項で改めて論じたいと思っているが、今さまざま取り上げられる学校での問題の原因を考えたとき、その一つに「学級の閉鎖性」があると考えている。
体罰、校内暴力、いじめ、さらには不登校など、これらの問題の原因が一つだとは考えていないが、「学級の閉鎖性」がどこかで影響を与えていると推論している。
教師も一度教室に上がってしまえば、隣の学級で何があっているのかもよくわからなくなる。ましてや学年が違えば全くと言っていいほど分からない。
子どもたちも学級の中での人間関係が重視され、他の関係が相対的に軽くなってくる。
それがプラスに働く側面もあるのだが、マイナスの面も無視できない大きさになってきている。
「人はどんなにその人のことと仲良くなろうと思っても、ずっとその関係だけを維持していくと煮詰まってくる」というのが私の持論である。親子でも夫婦でも恋人でも親友でも、みな同じである。
ある程度の解放された関係も持っておいた方がいいはずだ。
子どもたちにとっても、完全に密室になっている教室の中で、いつもの友だちと担任の先生以外につながりがない、というよりは、いろいろなつながりがあった方がいい。ゲストティーチャーがくることもいいだろうし、参観者がやってくるのもいい。隣のクラスの先生がふらっとやってきて声をかけてくれるのもいい。
担任が、他者の来室を歓迎する雰囲気を出していれば、子どもたちにもそれが伝わるようである。誰が見に来ても、いつ来ても、(心の中では緊張があるかもしれないが)いつもと同じような授業が進むだけである。
ちなみに研究授業があるときでも、私はぎりぎりまで子どもたちに伝えない。始業時間近くなって他の教師がぼちぼち教室にやってくる。子どもたちが「え?何?」って顔になる。
そのころに「あ、言い忘れていたけど、今日先生方が見に来るから。」と一言。
「君たちはいつも通りでいいからね。」という場合もある。
研究授業も自主的に何度かやっていると、そのうち人が来ることなど、子どもたちも気にしなくなる。教師が気にしていないからだろう。
オープンであることに違和感を感じなくなることがいいと思っている。