子どもたちが本を読んでいる。しかし、一言で「読んでいる」と言っても、よく見るとその姿はさまざまである。
教師として、子どもたちのどこを見ればいいだろうか。
私は子どもたちの目の動きを見ることが多い。
本当にその本を読んでいる子どもは、活字の並びに沿って目が動いている。縦書きの本なら、一定の速さで眼球が上から下へと動いている。
これに対して、活字を読まない子どもたちは目が動かない。あるいは、挿絵にしばらく注目したら、ページをめくっているような子どももいる。
ページのめくり方を見るだけでも、子どもたちのおよその様子は分かるのだが、目の動きを見ればいっそうはっきりと分かる。
ページのめくり方は、ごまかそうと思えばできる子どももいる。飛ばしながら読んでいることを教師から指摘されて、仕方なくゆっくりページをめくるような手段を取る子どもも実際にはいる。
これに対して目は嘘がつけない。文字を追っていないのに、規則正しく眼球を動かすようなまねはできない。目の動きを追うことは、子どもたちの心や頭の中を見る上で、重要な方法の一つとなる。
これは、読書だけでなく、国語の音読の時や、社会などの調べ学習の時でも汎用できる視点である。
自学をしているとき、あるいはテストで問題を解いている時にも汎用できる。
さて、目の動きからページを飛ばして読んでいる子どもを見つけたとする。どう指導するだろうか。
これは叱っても、読めるようにはならない。
そういう子どもは「読まない」のではなく「読めない」のである。活字を拾ってまで意味を知りたいというレベルに到達していない。
だから、教師としてできることは、その子に合いそうな本を見つけてあげることか、あるいは自分でいろいろと探させて面白いと思える本を自分でつかませること、それが結果的には近道なのだろうと思っている。
読書指導ラインナップ
本好きにするための指導群
01 図書館は宝の山
02 偶然の出会いを待つために
03 初日の指導は図書館探検
04 図書館利用マナーを教える
05 高学年でも貸し出しは増える
06 読書感想文は書かせない
07 読書量の目安はどのくらい?
08 学級文庫は必要か?
09 読解力と読書は直近では無関係
10 国語教育と読書は別物として考える
11 子どもの目の動きを読む
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