読書指導 学級文庫は必要か?

図書指導

 以前は、教室に学級文庫を作っていた。

 三段ボックスを複数買い込んで、そこに本を入れる。自分で気に入った本を買ってきて入れておく。数が物足りない時は学級通信を通して保護者にお願いし「不要になって廃棄するつもりの本」を分けてもらっていた。返却するとなると管理が大変である。

 大学時代に読んでいた星新一の文庫本を子どもに紹介し、(かつて国語の教科書に教材として掲載されていた。)自由に読んでいいことにしていた。文庫サイズの本に親しんでもらうのも一つの目的だった。

 これはかなりの人気であった。子どもたちが次々と手に取るので、あっという間に背表紙が壊れて本がばらばらになった。また(私の指導が悪いのだが)しばらくすると見当たらなくなる本も出てきた。家に持って帰ってそのままなのだろうが、一年経ったら、壊れた本となくなった本で20冊以上あった星新一のシリーズは壊滅した。
 マンガ「火の鳥」も同じ運命にあった。
 美術関係の本も置いていた。子ども用に画家ごとの作品の紹介がしてある本がよかった。ピカソ、シャガール、モネ、などの作品の特徴を紹介した本で、これは私も勉強になった。

 こうした自分の考えで本を揃えることができるのはいいのだが、コスパが悪い。

 そもそもほんの冊数がどうしても限られてくる。何年かかけて少しずつ増やした、と言っても三段ボックスで4~5台分である。個人で集めたにしては多く思えるが、やはり図書館にはかなわない。かなうわけもない。
 買いそろえることも、それなりに楽しかったのだが、予算にも限界がある。

 子どもたちもよく利用してくれたのだが、最終的には手放すことにした。一部気に入った本だけをもって置き、残りは異動の際に同僚に好きなものを取ってもらったり、古く損傷の激しいものは廃棄したりしながら、なくしていった。
 三段ボックスは、使い終わったノートの保管場所にした。

 学級文庫をあきらめると並行して、図書館の活用に重心を移していくことになる。

 気にった本が図書館になければ、選書の際に、個人の希望としていれてもらうこともある。異動した先の図書館にはすでに書架にならんでいたこともあった。

 今の時点では、学校図書館を大いに利用した方がいいという結論である。

読書指導ラインナップ
 本好きにするための指導群

 01 図書館は宝の山
 02 偶然の出会いを待つために
 03 初日の指導は図書館探検
 04 図書館利用マナーを教える
 05 高学年でも貸し出しは増える
 06 読書感想文は書かせない
 07 読書量の目安はどのくらい?
 08 学級文庫は必要か?
 09 読解力と読書は直近では無関係
 10 国語教育と読書は別物として考える
 11 子どもの目の動きを読む

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