原初的おもしろさ その3
バスケットボールの原初的なおもしろさは、もちろんシュートを成功させることである。これは、サッカーでも同じである。
どの子もみんなシュートを打ちたいし、成功させたいと思っている。苦手だからバスケットボールやサッカーは嫌いだという子どもたちも、心の奥ではやってみたいと思っているし、現実はそれがかなわないと思っているから避けているのだ。
これはゲームをするよりも、先に存在するおもしろさだと断言しておきたい。
まずシュートが成功する。それが満たされると、より複雑な状況でもシュートが成功できるようになりたくなる。それがゲームの様相である。
戦術は次第に複雑になる。やがて、自分が成功させなくてもアシストすることによりチームが勝利することでもおもしろいと感じるようになる。おもしろの段階はあるのだ。
だから、自分がシュートを成功させる経験が全くなく、そのおもしろさを実感できないままでいる子どもたちに、仲間と協力することを優先させるのは無理がある。学校ではみんな仲良くと言っているので、チームの勝利にも喜びはあるが、それが自分であることの願望は誰もが持っている。
この前提に立って、授業を組むとすれば、あえて誤解を恐れずに言えば、ゲーム形式の練習の前に、十分な個人のシュート練習を確保した方が、子どもたちはバスケットボールをおもしろいと感じるようになるだろう。
「どうやったら上手に入るようになるか、自由に研究して、授業が終わったら成功した数と、コツを書いて教えてください。」とだけ伝えてあとは任せておく。あとは一回か二回集合させて、友だちと情報交換をさせるだけで、結構楽しい授業になるはずだ。
この実践については、後に詳しく述べていく。
サッカーも同じである。放課後にチームに入っている子どもたちを相手に、一年ぶりにボールを蹴る子どもたちが太刀打ちできるわけがない。高学年になるほどにそれが分かっている。だから、経験の浅い子どもたちはあえて初めからボールに触れようともせず、ゲームの間、ひたすら端の方にいて何となくボールを追うようにしては知っているだけという状況になる。
サッカーについても、詳しく述べていく。
体育指導 楽しい授業づくりの超基本シリーズ
14 成功する授業の視点「高田四原則」
15 授業の基盤「原初的なおもしろさ」
16 十分な感覚の体感と技の向上
17 感覚の進化で授業を組み立てる
18 勇気も根性も不要)
19 「体育が苦手」はどこから来るか
体育指導 研究と実践シリーズ
20 研究「ICT教育」
21 研究「主体的・対話的で深い学び」
22 教えることをためらわない