高田四原則
体育の学習のおもしろさとは何かについて、かつて高田典衛という実践家が四つの柱を出した。これが「高田四原則」である。
できる楽しさ、分かる楽しさ、集う楽しさ、動く楽しさの4つである。
いい授業かどうかを判断するときの、基準に使える超が付くほどの重要な原則である。
「できる楽しさ」とは、新しい技ができるようになるとか、ゲームで勝つとかいう楽しさであり、これは体育の授業の中では最も分かりやすいだろう。
「分かる楽しさ」とは、どうすれば上手になるのか、どうすれば勝てるのかという頭で考える部分の楽しさである。これは、高学年になるほど比率が高くなるだろう。また自分たちで工夫させるような授業を仕組むと、この「分かる楽しさ」が理解できるようになる。
「集う楽しさ」とは、仲間と一緒に活動することの楽しさである。チーム運動だけでなく、縄跳びや跳び箱でも仲間と協力したり、見あったり、教えあったりする楽しさを味わわせることはできる。
またルールを守る、友だちを傷つけないなど、授業の基盤を支えていくうえでも、大切な要素である。
そして「動く楽しさ」とは、運動量そのものを指す。体育の授業とは運動量が確保されてこそ成立する。これまでも述べてきたように準備や学習カードに時間をかけるのは本末転倒であるだけでなく、チーム学習で作戦会議や反省会に時間をかけるのももったいない。
どのような授業が優れた授業かを考えるときに、この四原則は道しるべとなる。
自分の授業が、どこかに偏っていないか、どこかが足りていないかを見るときに実に分かりやすい。
お気づきかもしれないが、これは他教科でもかなりの部分で転用が可能な指針である。
例えば、算数を例に挙げる。
算数でも「分かる」と「できる」は別物である。計算の仕方は分かるけど、ミスをしてしまう場合もあるだろう。答えはともかく出たけれど、どうしてこの考え方なのか自分で納得できない場合もある。
一人で進めることも大切だが、時に仲間と考えるのも学校での勉強には必要である
そして、何より算数なら自分で問題を解く時間がたくさんあった方がいい。教師の説明を延々と聞くより、まず自分で解く。活動を中心とするのは初等教育であればどの教科でも共通して言える原則である。
体育指導 楽しい授業づくりの超基本シリーズ
14 成功する授業の視点「高田四原則」
15 授業の基盤「原初的なおもしろさ」
16 十分な感覚の体感と技の向上
17 感覚の進化で授業を組み立てる
18 勇気も根性も不要)
19 「体育が苦手」はどこから来るか
体育指導 研究と実践シリーズ
20 研究「ICT教育」
21 研究「主体的・対話的で深い学び」
22 教えることをためらわない