移動 その3
時間を意識させるためにこんな方法も取ったことがある。
その時は特に何の指示もせず、運動場に集合して、準備をして主運動を始めた。始業から15分くらいかかっていただろう。
授業が進み、やがて終業15分前になる。
「はい、今日はこれで終わります。片付けてください。」
子どもたちは口々に「え?もう終わり?」と言っているが、ともかく片付ける。
片づけが終わったところで集合。
「今日の体育は短かったですね。
でも今日は移動と準備に15分かかりました。
ということは片づけをしてまた教室まで帰るのに同じ15分がかかるはずですよね。
授業時間は45分です。始めに15分、終わりに15分取ったら、残りは何分ですか。」
子どもたちは「15分」と答える。
「ということで、この時間になったということです。
君たちの準備の時間が10分で済むなら、片付けも10分前から始めます。
それだけで活動の時間は25分になるのです。」
体育を楽しみにしている子どもは多い。それも他のことは手を抜きがちなやんちゃ坊主たちが楽しみにしている。そんな場合には、こうした荒療治をすると、やんちゃ坊主たちがその後は率先して動くようになる。
目の前の整列でのおしゃべりだけを叱っていると、子どもたちも目的を見失う。
移動や準備の時間は短いほど主活動、主運動が長くできるのだから、準備に時間をかけないのだという見通しを持たせる必要がある。
4月の段階で一度こうやって念を押しておくと、子どもたちは教師の決意とともに時間の段取りを理解することができるようになる。
教師が注意することが(教師の独断ではなく)全体の目標に合致していることを、実感できるように伝えていく。すると、厳しいことを言っているようだが理にかなっていると納得してくれる。
このような指導は毎回厳密にする必要はない。学級全体の時間意識が確立したら、その後多少のずれがあっても何か事情があるのだとお互いに分かる。
体育指導 「主運動」の時間を確保するための微細シリーズ
01 「主運動」という視点
02 着替え
03 教室移動
04 教室移動(高学年)
05 教室移動(残り時間)
06 準備・片付け
07 準備・片付けの微細なコツ
08 準備運動・集合
09 器具・用具・道具の整備
10 使用割
11 学習カード
12 個人の主運動を確保1
13 個人の主運動を確保2