移動
教室を移動する段取りは、学校や学年、学級によって異なるだろう。
他の教室にじゃまにならないよう、静かに整列して移動させる必要はあるが、これにこだわりすぎて、むしろ時間がかかる場合もある。
子どもたちには、目的を話しておく。何のために移動するのか、と。
もちろん体育のためである。
しかし、移動に時間をかけるとそれだけ運動する時間を取られるという感覚を持っている子どもは、まれである。
教師の指導が必要である。
1 整列の指導
何の順番で並ぶかは決めておけばいい。ただし私は体育では「来たもん順」つまり準備ができた人から並ぶという方法も取っていたことがある。
体育だけでなく、図書や理科などで教室を移動する一番初めの学習の際に、練習をする。
教室で座席についている子どもたちに話をする。
「静かにするのは、他のクラスに迷惑をかけないためです。ですから、おしゃべりをしていたらやり なおします。
並ぶ時間が短ければ、それだけ活動の時間(図書室なら読書の時間)が長くなるからね。」
そして、「どうぞ」と移動の合図する。
子どもたちが廊下に並ぶ。おしゃべりをする子どもが数名出る。
「はい、やり直しましょう。」と指示をして、教室に戻す。
座席に着いたところで「どうしてやり直しになったと思いますか。」と聞けば、おしゃべりがあったからとすぐに返答がある。
「そうですね、やり直しましょう。では、どうぞ。」と二回目。
それでもおしゃべりがある場合もある。決して叱らない。淡々と「はい、やり直し。」と伝えるだけ。座席に戻るとちょっと緊張感があるが、何も言わない。
「では、3回目。どうぞ。」と指示を出す。このころには子どもたちはさすがに分かりだすのだが、場合によってはまだ態度が変わらない場合もある。その時はまた、やり直し。
そして、伝える。
「先生は、できるまで何度でもやり直しますよ。図書の時間が全部つぶれても、できるまで何回でもやります。」と決意を伝える。
教師の覚悟が伝わると、ほぼよくなる。子どもたちはこうした場面で教師の指導の詰めがどこまでなされるのかを見ているのである。
中には発達特性の関係で、他の子どもと動きが違う場合がある。あるいは、特性でなくても、ごくわずかな子どもだけ全く変わらない場合もある。この場合は集団を犠牲にせず個別に対応する。
一度教師の覚悟を見せておくことは必要だろう。
体育指導 「主運動」の時間を確保するための微細シリーズ
01 「主運動」という視点
02 着替え
03 教室移動
04 教室移動(高学年)
05 教室移動(残り時間)
06 準備・片付け
07 準備・片付けの微細なコツ
08 準備運動・集合
09 器具・用具・道具の整備
10 使用割
11 学習カード
12 個人の主運動を確保1
13 個人の主運動を確保2