学級編成で生じる「化学反応」
次年度の学級編成を考えるときに、子どもたちの顔を想像しながら、どの子どもたちも楽しく成長してくれることを願っている。
大きな偏りが生じないように考えるし、トラブルも起こらないならその方がいいと考えている。
しかし、あれほど考えていたにも関わらず、新年度になったら予想すらしなかったような新しい課題が生まれてくるのは、学級編成の常である。
これを時に「子どもの化学反応」と呼ぶことがある。物質が他の物質と反応することで全く違う物質になることから、子どもも環境やつながりが変われば、まるで別の人になってしまうかのように変化するということである。
これもネットワーク理論で言えば、ある意味当然の結果である。
子どもたちを単独の存在としてみれば、いわゆる「箱」が変わるだけであり、子ども自身に大きな変化はないという仮定で新しい学級に編成される。
しかし、「つながり」が大切だとなれば、話は全く変わってくる。新しい学級では、今までにない新しいつながりができている。(そのための学級編成なのだが。)
人は、ネットワークによっても多大な影響を受けるから、友だちとのネットワークの形成によっては、個々の置かれる立場は今までとは全く違ってくる場合が生じる。
教師とのつながりが希薄で、ほめられることも少なければ、教師への信頼も失われていくだろう。これはその子の人格や性格の問題ではない。教師とのかかわりの中で相対的に生じるものである。
新担任から見れば接するのに一苦労する子どもが、昨年度までは教師の言うことをよく聞く積極的な子どもだったりすることはよくある。その反対もある。
これがまさにネットワークによって影響を受けた子どもたちの姿である。
つまり、子どもたちは単体で存在しているのではなく、ネットワークに強く影響を受けた存在であるということだ。
ある子どもの問題と思える行動は、何が起因しているのかを、家族を含めたネットワークという視点から見ていくことで、はっきりしてくることもある。
個性とか人柄というような分析だけで片付かない問題は、意外に多い。