大胆な予想 公務員の兼業認可
あくまでも勝手な予想である。
未来を考える上での、一つの想定だと考えてもらえるとありがたい。
公務員の副業はやがて認められるようになるだろうという予測である。
一番の根拠は、人口減少である。
これから日本全体が縮小していく。特に、労働人口の減少は、さまざまな影響を与えていくことは目に見えている。
今でもすでに地方では、営業を停止せざるを得ない店が増えているらしい。
その理由が、客が少ないからではなく、従業員が足りないから、という場合もあると聞く。
働き手がいないから、営業ができないという職種が増えてきている。
実は教師だけでなく、多くの仕事で若い人が入ってこないという問題が起きているのが、我が国の現状なのである。
高齢者の再任用、女性労働人口の増加、外国人労働者、さらにはAIの活用などがこれからの労働問題対策になっているようだが、抜本的な解決にはならない。
民間企業の中でも、副職や兼業を認めるところが増えている。
多様な能力を持つ人が、その才能を生かしていける方が社会全体として価値があると考えていくのは、自然な流れではないか。
公務員には職務専念義務がある。いろいろと理由もあるのだろうが、例えば土木関係の部署にいるそれなりの肩書の人が、建設会社の重役を兼務するとどうなるか、など誰が考えても分かる理屈である。
しかし、公務員のすべての役職が、そうした問題の位置にいるわけではない。
足りない人材を公務員の力でカバーできるのであれば、そうしたいと考えていくこともやがて普通になるのではないか。
福岡市には、一度退職して民間企業に行った人が、3年以内に戻ってくるのであれば、退職金を退職前後で合算して出すという制度がある。
福岡市だけではないらしいのだが、実施した事例がまだ一件しかないと聞いた。
このように、官民を行き来するような働き方も、もっと出てくるだろう。
人生100年時代と言われ、その生き方はマルチステージになると言われている。
一つの仕事を生涯全うするという生き方はもはや、急速になくなっていくだろう。
そういう時代の流れの中で、公務員だけが「職務専念義務」という縛りの中でやっていけるのだろうか。いや、そうした縛りのある仕事を積極的に選ぶ人の割合は減っていくのではないだろうか、というのが兼業への一番の理由である。
もし、教師が兼業できるようになれば、その可能性は幅広い。
教えることを仕事とする教師だからこそ、実は守備範囲は想像以上に広がるのである。
例えば公民館で行われるさまざまな教室の講師くらいなら、現職教師はいくらでも対応できるようになるだろう。
大金を稼ぐような仕事がすぐに舞い込んでくるわけではないだろうが、今の職業を生かした兼業なら多くの教師が挑戦できるようになるはずだ。
もし、これが認められれば、教師の働き方改革は一気に進むと考えている。
行政は、教師の給料を据え置いたままで、兼業を認めるとする。
一部の教師は、こうした小さな副業を始めるようになるだろう。
当然、その準備にも時間を割くことになる。多くの教師が、自分の時間を切り詰め、残業の時間は減っていくだろう。そして、副業によって教師は今よりも幾ばくかの収入を得ることができるようになるのである。
それでいて、社会全体として働き手の需要が満たされていく。
まだまだ手続き的にさまざまな問題もあるのだろうが、この人口減少社会の中で、公務員の能力を「職務専念義務」でしばりつけておいても、いいことはないと思っている。
それくらい、人口は急激に減少していくのだ。
地方は本当に危ない。
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