教育と経営 あえて異質の視点を

大学院

 MBAを目指したのは、大学院に行こうという目的が先にあったわけではない。
 始めから経営の勉強をしようと思って選んだ。

 教育学部を卒業し、そのまま現職の教師になったのだから、教職大学院に行ったり、大学院の教育学部に行くという方法もあった。
 教育の道も、究めれば終わりはない。学ぶことも多い。

 しかし、自分の年齢や経験を考えた時に、その道はあえて選ばなかった。
 自分がやりたいと思ったことは、教育をあえて違う視点で分析してみるということだった。

 好むと好まざるとに関わらず、学校教育の世界は閉じられているイメージがある。
 学校教育という組織そのものが巨大であり、関わる人も多く、さまざまな課題を抱えているせいで、外に意見を求めている余裕がないとも言える。
 研究組織だって、教師の研究会やサークルは山のように存在する。情報もたくさん発信されている。

 今さらそこに新たな提案を重ねても、「屋上屋に架す」である。屋根の上に屋根を作るのはそれほど意味のあることではない。
 実践そのものについてなら、現職の教師にも優れた人がたくさんいる。私がそこに出ていく必要もないだろう。

 だからあえて違う道を選んでみた。
 肉を切るには刃物が必要。あえて異質なものでなければ切れないものもある。
 学問のコラボレーションというのは、おそらくこれから必要になる。

 そういう流れを「中途半端」と切り捨てる人もいるだろう。教育現場の中には「外のものが、現場を理解できるわけがない」と思っているところもある。私もかつてそうだった。
 だから私が「教育と経営のコラボ」などと言い出すと、非常に違和感を抱く人もいるだろう。
 それも百も承知で、この道を選んでみた。

 どんな答えが出るかは分からない。(見当はつけているが。)
 けれども、おもしろくなりそうという思いもある。

 あえて少しだけ本音を言えば、これは現場への問題提起というより、もっと上への問題提起を想定した野望なのである。
 PISAで今なお好成績を維持する我が国の学校制度が、なぜかくも困難な道の置かれているのか。
 マスコミや世間では、一般教師の問題を問うているが、現行の制度を作ったのは現場の教師ではない。第一線の教師自身の課題もあるが、そこだけで課題が解決するレベルではもはやないと思っている。

 まあ、あまり大上段にかまえず、まずは自分が勉強することを楽しんでいきたい。

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