学年主任9 そろえることを強制しない

学校システム

そろえることよりも説明責任

 学年主任の中には、何から何まで学年で同じことをさせようとする人が時々いる。
 時間割、教室掲示、授業で使うプリント類、などなど。さらには掲示物をいつ貼るかという時期までそろえようという人もいる。

 結論を言えば、学年主任がそろえさせるメリットはない。
 学年がそろっていないと保護者からクレームが出たときに対応できないというのが大きな理由であるようだ。(学校でも同じ理由でそろえさせることがある。)

 しかし、そろえないことで学年主任が困ることはない。
 学級内のことでクレームが生じる可能性は基本的に経験が浅い人の方である。
 だから若手は、自分が困りそうなら、自分から「同じようにやらせてください。」とお願いするのが筋である。

 これがもし、主任が自分のところにクレームが来た時のための言い訳に使おうと思っているのであれば、はっきりいえばそんな思考パターンなら主任は辞めた方がいい。
 授業や学級経営の方法は、さまざまにある。自分のやってきた方法が最も素晴らしいと断言できる人は少ないだろう。
 絶えず、実践と修正の繰り返しである。完成されたものはない。
 その未完成なものを、強制するだけの自信の方がちょっと怖いかもしれない。
 若手が自分で勉強してきて、やってみたいという思う実践があれば挑戦させてみるのも、若手育成の一つの方法であるはずだ。
 場合によっては、主任の方がそこから学ぶこともあろう。

 ただし、自由にさせるのは放置するのとは違う。
 個人で任せてもいいが、明らかに手を抜くためのものであれば、指導が必要である。

 また時には子どもにうけることを優先した結果、社会的に見れば違和感を感じるような授業や掲示物ができあがったりする危険もゼロではない。

 そうしたことについては、自分と真似をさせるのではなく、常に保護者への説明責任を問いたいと考えている。それは何と言って保護者に説明するのか、と。

 その上で修正させることはあるだろう。しかし、だからと言って「自分と同じようにやって」というのはやはり、違っていると思っている。

学年主任シリーズ 意外に語られてこなかったことに独断と偏見で切り込みます
01 先の見通しが第一の仕事
02 勤務時間は厳守!
03 やってはいけない打ち合わせ
04 チームでの合意形成の方法
05 初任者の教室を1000回見た
06 高段の芸「評価基準」
07 新しいことに挑戦しよう
08 時数計算は決して粗末にしない
09 そろえることより説明責任
10 仕事の任せ方

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