どんな授業を見てもらうか
保護者は、我が子を見に来ているのだということを頭に入れた上で、どんな授業を見てもらうかを考える。
年間に数回はあるだろうから、先に計画を立てておいた方がいい。いろんなバリエーションがあった方が、担任としての学級経営の意図も見てもらえるだろう。
しかし、見せる授業を考えるときに、教科や単元を何にするかは大きな問題ではない。
保護者は、算数が見たいとか、国語が見たいとか、思っているわけではない。たまには、体育など日頃見ないものが見たいという保護者もいるが、特に教科にこだわっているのではない。
保護者が見たいのは、授業における子どもの様子である。
子どもたちが授業に熱中している姿を見てもらう方がいい。
できれば、より多くの子どもたちの発言や発表があった方がいい。
1時間の流れを見せるときもあれば、多様な授業の断片を見せるようなときもある。
保護者も一緒に考えてしまうような授業もいい。
そのためには、教師自身がそうした多様な授業のバリエーションを持っていなければならない。
それは授業の「ネタ」の問題だけではない。
子どもたちが取り組みたくなるような授業の「ネタ」も探せばいくらでもあるだろう。
しかし、どんな「ネタ」を持ってきても、日ごろの授業の様子が出てしまう。
ノートにていねいに書いていく姿や、発言しようとする姿、教師や友だちの話に耳を傾ける姿は、授業参観の時だけ突然にできるようになるものでもない。
おもしろそうな「ネタ」に一瞬は集中するかもしれないが、45分も経てば、いつもの子どもたちの姿が出てしまうのはむしろ当たり前のことであろう。
つまり、保護者のいるいないに関わらず、四月の授業参観の準備とは、まさに子どもたちの「授業への参画レベル」をどれだけ高めるかということだと言える。
参観授業を使って、子どもたちの意識を高めるという逆転の発想である。そのための第一回目のお披露目の場が授業参観だと考えるといい。
その意味で、私は4月の一番最初の参観授業には、いわゆる「普通の算数の授業」を持ってくることが多かった。
保護者もイメージしやすい(ドラマなどにも出てきそうな)子どもたちがみんな前を向いて、教師が指示を出しながら進めていく授業である。
あえて、そういうステレオタイプの授業を持ってくる。
その中で、子どもたちがどのようなに授業に集中していくかを見てもらうのである。
詳しくは以下を参照。(「授業参観03 算数ノートを見てもらう」)
参観に向けて、学級目標や係活動などの掲示物を準備するだろう。それはそれで確かに大切であろうと思う。
しかし、繰り返すが保護者は第一に我が子の姿を見に来ているのだ。
我が子が授業に熱中しているかどうか、楽しそうに過ごしているかどうか、それこそが学級の第一の評価なのである。
その準備をおろそかにして掲示物だけを熱心に作成するのは、本末転倒になる。
授業参観シリーズ
01 保護者は我が子を見に来る
02 ネタの向こうに見えるもの
03 算数ノートを見てもらう
04 全部見てもらう
05 保護者を巻き込む授業+おまけ