そもそも、どのくらいの量の本を読んだらいいのだろうか。
これを単純に冊数で競争させるようなことはしない方がいい。そうすると、図鑑や薄い本ばかりを読んでいる子どもと、長編の物語を読んでいる子どもを比べても意味がないことはすぐに分かる。
今度はページ数と調べるという方法もあるようだが、結果的には同じだろう。
量を競わせることは、子どもたちにいい影響を与えるとは思えない。本が苦手な子どもは、図書館に連れていくだけで嫌だと思うようになるだろう。
ただ、貸し出しをPCで行っているときに、今までの合計数が見えたりするから、それを本人に「これで〇冊目だね」と伝えることはある。そして、それを周りが聞いていることももちろんある。その程度の奨励でしかない。
そうはいっても読まないよりは、読んだ方がいい。その量は単純に少ないよりは、多い方がいい。子どもたちには、読めるだけ読むようにとよく話をしていた。
特に6年生には、(自分の経験も踏まえて)中学に行けば部活動もあり、勉強も多くなるので読めなくなってくるから、今のうちに読んでおきなさいと話をする。
年間100冊なら、学校に来るのがおよそ40週なので、1週あたり2.5冊。
このペースで、一定の文字数の本を読み続けることができるのなから、なかなかの量ではないだろうか。子どもたちにもこうした目安は伝えている。
これが低学年の絵本であれば、毎日のように借り換えてもいいだろう。
「週に1冊読んだら、1年間で大体40冊から50冊くらいになるね。」と話をしたり、その話の続きで、今のペースで読むと1年でどのくらい読み終わりそうかと投げかけてみたりしている。
反対に言えばあまりに冊数が多いと、本を読み続けほかのことをしなくなっていないかという心配も出てくる。いずれにしても、教師はおよその傾向をつかんでおく方がいい。
冊数を自己目標にする子どもも時折出てくるが、その目標設定をほめつつも、何の目的で読書をしているのか常に声をかけている。冊数を目標にするような子どもは、そもそも本が好きな場合が多く、その子自身が一つの目安にしているだけであり、本そのものに熱中するようになってくる。
学級に本を読む文化が形成され、みんなが読書をする中に心地よい沈黙が生まれるようになってくれば、もはや冊数をどうこうという必要もないだろうと思っている。
読書指導ラインナップ
本好きにするための指導群
01 図書館は宝の山
02 偶然の出会いを待つために
03 初日の指導は図書館探検
04 図書館利用マナーを教える
05 高学年でも貸し出しは増える
06 読書感想文は書かせない
07 読書量の目安はどのくらい?
08 学級文庫は必要か?
09 読解力と読書は直近では無関係
10 国語教育と読書は別物として考える
11 子どもの目の動きを読む
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