体育指導1 「主運動」という視点

体育授業のコツ

 体育は言うまでもなく、運動をする教科である。(保健を除いて)
 だから運動する時間を確保することが体育の授業を組み立てる上で不可欠である。

 その単元で行う運動を「主運動」と呼ぶ。

 主運動の時間が長ければ長いほど、体育の授業としてはいい授業であると、とりあえずは考えていい。単元にもよるが、20分から30分程度の「主運動」の時間が確保できればいいだろう。これだけあれば、子どもたちは学習の中で軽く汗をかくほどの運動ができるはずである。

 しかし、体育の授業は運動だけするわけにはいかない。着替え、運動場や体育館への移動、準備、準備運動、片づけ、教室への移動、そして着替え。運動以外にすることが多い。
 主運動の時間以外をどうやって削っていくか、教師はあらゆる方法を考えなければならない。時には秒単位で考えていく必要がある。(ただし、準備運動をおろそかにするのはよくない。)
 これらについては、個別に論じていく。(最下段を参照)

 主運動の時間を確保できるようになったら、今度は「一人一人の主運動の時間」が確保できることを考える。

 跳び箱運動で、全体が跳び箱を跳んでいる時間が20分確保できたからといって、子どもたち一人一人が20分活動しているわけではない。順番を待っている時間もあるだろうし、場合によっては上手に順番を譲りながら跳ばないままその時間を過ごす子どももいる。

 教室で座って進める授業の場合は、子どもたちが何をしているか比較的わかりやすいし、同時に活動をすることができる。しかし、体育の場合はそうでない場合が多い。

 ちなみに、跳び箱運動であれば、一人の跳んでいる時間が2分あれば、かなりいい授業と言われる。45分の授業の間に2分である。
 これは想像以上に少ないだろう。これまでにたくさんの教師にこの時間を尋ねたが、ほとんどの教師は正解しない。10分とか15分とかをイメージしている。

 実際の運動では、1回の跳躍に5秒かかるだろうか。助走から着地までの時間で1回と考える。1回5秒で、2分なら24回である。1時間の授業で子どもたちが20回から30回の運動が行えるなら、とりあえずは合格だろう。

 こう考えると、他の器械運動も、陸上運動やボール運動も主運動の時間を確保するのは教師のていねいな段取りが必要だということが分かる。

体育指導 「主運動」の時間を確保するための微細シリーズ
 01 「主運動」という視点
 02 着替え
 03 教室移動
 04 教室移動(高学年)
 05 教室移動(残り時間)
 06 準備・片付け
 07 準備・片付けの微細なコツ
 08 準備運動・集合
 09 器具・用具・道具の整備
 10 使用割
 11 学習カード
 12 個人の主運動を確保1
 13 個人の主運動を確保2

タイトルとURLをコピーしました