水泳指導1泳げることの向こう

体育授業のコツ

 高学年になると全員25メートルを泳がせることを目標にしてきた。学級だけではない。学年全体である。
 それは体育の学習としての目標だけではない。

 いやむしろ技能的な目標はあまり重要視していない。
 事実、泳げるようになった子どもたちのフォームがみな美しいかといえば、そんなことはない。やっとの思いでたどり着いたという子どもたちもいる。

 そして、跳び箱同様に、それができなくても将来困ることはほとんどない。
 泳げることそのものが目標なのではなく、泳げるようになったことによって、子どもたちがつかむ自尊心ややる気を目標にしている。

 百万の励ましの言葉よりも、自分も泳げたという事実の方が、はるかに子どもに説得力を持つ。
 これはすでに泳げている子どもたちにも言える。
 はじめはまるで泳げなくて、やる気もなかった友だちが、どんどん上達していく。最後は必死になってゴールにたどり着いた。その姿に一緒に喜ぶ子どもたちの姿もたくさん見てきた。

 これもまた初等教育における大切な教育なのである。

 経験上、子どもたちが言う「体育が得意」とは次のことができればいい。

 1 足が速い
 2 逆上がりができる
 3 跳び箱で開脚跳びができる(なぜか高い段がいっそう評価される)
 4 水泳で25mが泳げる

 全部満たしていると、自他ともに認める「体育得意」である。バスケットが得意かどうかなどはあまり関係がない。(その時は評価されるが)

 水泳は季節ものなので、練習期間も限られる。
 できない子どもはずっとできないままでいる。残念ながら、学校の指導だけで年々上手になる子どもたちの割合はかなり低い。

 スイミングスクールに行っているか、もともと水が大好きでともかく動いているうちにできるようになるか、のいずれかである。よって学年が上がるごとに格差が広がっていく。

 高学年ほど、コンプレックスの塊になり、何かにつけて見学しようとする子もいる。
 そういう状況を打破し、価値観を変えていくのが水泳の学習である。

水泳指導 準備シリーズ 学年全員の指導をターゲットにします
 01 泳げることの向こう
 02 指導は5月に始まる
 03 指導の全体像
 04 子どもたちのエピソード
 05 指導の系統

水泳指導 浮きの指導シリーズ 苦手な子どもたちはここからていねいに指導します
 06 顔を水につける
 07 もぐる
 08 浮く指導
 09 浮く指導の小さなステップ
 10 ふし浮き
 11 けのび
 12 けのび微細な指導

水泳指導 息つぎの指導シリーズ 25m完泳しない大半の理由はここにあります
 13 息つぎ
 14 ボビング
 15 連続したボビング
 16 浮きと呼吸の連動
 17 浮きと息つぎの発展

水泳指導 ストロークとキックの指導シリーズ 協応動作という考えを水泳にも取り入れます
 18 キックとストローク
 19 ストロークどこを見るか
 20 腕に水の抵抗を感じるか
 21 キックの練習
 22 キックとストロークの連動
 23 ブレスをいれた泳ぎ 
 24 クロールのブレス

水泳指導 目標の25mへの指導シリーズ いよいよゴールへ向けて詰めの指導です
 25 完泳への力を蓄える
 26 目標25mへ
 27 完泳までの道のり
 28 酸素摂取能力

水泳指導 まとめシリーズ 学校全体で指導ができると負担軽減・効果倍増なのです
 29 保護者への話
 30 全校での指導
 31 全校での指導系統案

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