ある程度音読ができるようになったら、暗唱させる。詩など短い場合はおすすめである。
いつものように音読をしているときに
「では、今から覚えてください。時間は15秒です。はじめ!」
と突然指示を出す。
それも15秒である。
暗唱指導にいきなり5分もかけない。子どもたちの活動が停滞するだけだ。15秒と言われ「えー!」と驚く間もなく練習に突入しなければならない。
子どもの様子を見ながら何となく15秒をカウントする。この場合は、むしろ正確でなくていいのだ。子どもの様子で判断していい。
「それでは、暗唱します。さあ、クラス全員でどこまでいくでしょうか。さんはい。」
と指示を出し、全員で読ませる。
子どもたちは読み始める。初めは勢いいいのだが、だんだん元気がなくなり、ばらつきも増え、そして沈黙する。
一緒に笑ったりして盛り上がりつつも
「それでは30秒追加します。少しでも先に進むように練習してください。はじめ!」
と指示を出す。
お分かりだろうが、初めの15秒は布石であり、この30秒が本当の学びになる。子どもたちは先にも増して、真剣に覚える。それでも時間は30秒しかとらないのだ。
そして、全員で再挑戦。ほとんどの場合、前回よりも先まで読めるはずである。
(一人一人の暗唱テストをするのであれば方法はまた違うが、ここでは割愛する。)
こうして突然に違う方向にもっていくと子どもたちの緊張感も持続する。また、子どもに優れた文章を頭にストックさせるという意味で暗唱は大切な活動である。
ちなみに、一文ずつ交代して読ませる方法などもあるが、初期の段階としては、音読という学習活動そのものへの動機づけとしては面白い。子どもたちもよく集中する。
しかし、この方法では読むことが内容の理解につながるような方向にはもっていっていない。あくまでも声を出すことがおもしろいという設定である。
だから、一文交代読みなどは、子どもたちの音読が上手になるほどにしなくなる。しなくても子どもたちは音読そのものに価値や意味を見出すようになる。
音読指導ラインナップ
00 教室で行う音読指導
01 声を出させる音読指導
02 全体から個別への音読指導
03 個から自立への音読指導
04 集団に埋もれさせない音読指導
05 1文から始める音読指導
06 あらゆる教科でできる音読指導
07 微細にこだわる音読指導
08 黙読へ向かう音読指導
09 詰めにこだわる音読指導
10 進化した音読
11 暗唱と連動した音読指導
12 他教科へ波及する音読
13 裏技の音読指導
おまけ 音読の宿題は保護者に恨まれる
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