ここが変だよ、教頭職その1
学校の教頭職というのは、変なところがいろいろとある。
行政的には「係長」クラスだと聞いた。校長が「課長」クラスになるらしい。
まあ、給料などの体系上そうした位置づけなのだろうが、構造としてはおかしい。
そもそも「課長」の下に「係長」が一人しかいない。大規模校では場合によって二人になる場合もあるが、基本は一人である。
一人の上司に対して、一人の部下がつく状態とは、二人の間に役割分担が難しい状況になる。部下が複数いれば部下の役割分担も可能なのだが、部下一人というのは、どこまでが上司の仕事で、どこからが部下の仕事かわかりにくい。
形式上は、さまざまな文書案件は教頭が「承認」して、校長が「決裁」することになっている。
当たり前だ。しかし、現実的な対応は、まさに校長と教頭の組み合わせによって、無数に存在することになる。
例えば、全てを把握し自分で判断しようとする校長がいたとする。教頭の意見に耳を傾けようとしない場合である。この場合は、教頭の立ち位置は「事務処理」に徹することになる。
後述するが、教頭職が抱える事務作業は膨大な量になっている。それを粛々と処理するだけで仕事が終わる。
反対に、多くの部分を任せられている場合もある。この場合は、教頭にも自分の判断が求められ、代わりに管理職として動くことが一定量可能となる。
業者から工事や修繕のために来校する電話があったとする。ほとんどの場合、これは教頭が対応することになっているだろう。
時間や段取りについて、学校の動きと業者の日程を調整して決定する。
しかし、もしこれについて「校長の決裁」が必要だとしたら、むしろ教頭の業務は大変になる。一度受け取った電話での依頼を保留にし、判断を仰いでから、再度電話をする。
時にはそれが複数回にもなる。
教頭職にはこんな電話が日に何種類もかかってくる。
すべての電話案件について、判断を仰ぐ必要があるなら、教頭はもはやただの電話番だ。直接校長につないで決めてもらった方が、学校のためにも業者のためにも都合がいい。
こうしたやりとりの一つ一つが教頭職の業務量を左右する。