研究授業の準備 指導要領を読む
では、どんな準備ならば、役に立つ準備と言えるだろうか。
まず指導要領を読むことを強くお勧めする。
先行事例を本やネットで調べたり、いろいろ情報を得る前にまずこれが一歩である。
教師が指導する教科内容の土台は、指導要領に示されていいる。
教科書も、市販の教材やテストも、参考文献も、優れた先行実践も、みなここを通過している。
自分が取り組もうと思っている授業そのものが、なぜ今ここにあるのかを理解するために、自分の立っている場所を知ることは後々役に立つ。
日々の実践の中で指導要領を読んでいくのは、なかなか大変である。だから、研究授業をするときを一つの目印にして、読めるところから読んでいくと考えたらいい。
採用試験の時には、多くの教師が読んで勉強したことだろうと思う。しかし、授業をしたことがなかった時期に読むのとは文章のイメージが全く違う。
学級の子どもたちを想像しながら読むと、言いたいことも少しずつ理解できるようになる。
指導要領は毎年改訂されるものではない。
つまり、一度勉強していると、数年の間はそれが自分の財産として生きていくのである。
指導要領は骨格であり、土台であるから、次年度に学年が変わっても、(同じ教科なら)別の単元の研究授業をしても基本的な部分がずっと使える。
指導要領そのものは、表記がゆるい。目指す目標と、大まかな内容が示されているだけである。
これは指導法は現場で考えることができるという意味でもある。
だから、「国語の指導法はこれでなければなりません。」という一つの方法にに固執する人がいた場合には指導要領を引き合いに出して反論することは可能なのである。
「それでなければならないと、どこに書いてあるのですか。」と。
しかし、指導要領を読むときに、該当する単元の部分だけを読んでも、きっとよく分からない。それだけを読めば「当たり前」を書いているだけにしか見えないからだ。
だから、教科の目標を読む。
ノートに視写して、一語一語こだわってみる。その言葉を選んでいる意味があると想定して、単語にこだわって読む。
次に文章の構成を調べてみる。
指導要領は、一文が長い。そして、文と文との関係が読みにくい。
AだからBと言っているのか、AとBの両方が並立と言っているのか、はっきりしにくいところがあちこちにある。
つまり、目標とはいくつかの項目が合わさって一つの形をなしているのであることが分かる。
その構成が見えてくると、「結局、〇〇という教科はどんな授業をすればいいの?」という問いに自分で答えることができるようになってくる。
これが授業の骨格となる。