ここが変だよ、教頭職3
ともかく報告を要する文書が多い。
理由は簡単である。教育委員会事務局にはたくさんの課があり、それぞれから報告を要請するのだが、こちらは一人だからだ。
中学校で各教科の先生が、互いの連携を取らずに宿題をだして、生徒の負担が増えている、そんな感じだと思ってもらえるとわかりやすい。
児童の実態に関するもの、職員の管理に関するもの、施設の状況調査に関するもの、昨今はコロナウイルス感染状況に関するもの、内容はそれこそ多岐に渡る。
定期的に出すことが決まっているものや、突然やってくるものや、何か事案が生じたときに報告するものなどある。
これは、学校という組織には業務・人事・施設を直接管理する管理職が一人しかいないことが原因である。800人程度の子どもたちがいれば、職員は場合によって50名を超える。教室の数もそれに相当して増える。
これらを直接管理するのは一人の人間である。・・・どこに行ってもそんなものなのだろうか。
当然、業務に関する文書も一括して管理するのが教頭ということになる。
一度、これを全部書き出してみて、一覧表にしてみるといいだろうと思ってはいたのだが、実現する前に退職してしまった。
書き出すだけでも手間がかかるし、その精神的な余裕もない。
これがあれば、何らかの形で教頭の中で広まるだろうが、そうした話も聞かないところをみると、誰も思いつかないか、あるいは思いついてもできないのだろう。
一つ言えることは、一度報告を求められた文章が、次年度以降に減らされる可能性はほとんどないだろう。新しく求められる報告はあっても、なくなることはない。あるとすればその事業そのものが消えた時くらいである。
「学級編制資料の報告」という文書がある。年度初めと年度末、そして10月ごろに一度求められる報告である。
児童数の報告なのだが、どうやらその児童数をもとに必要とされる教員数を把握するための報告のようだ。だから、年度末には数回、年度初めには2回、同じ報告を求められる。
きっと県教委を通じて文科省にまで行くのだろう。
公立学校である限り、ここが正確でなければならないのは理解している。
しかし、この文書の「肝」は、学級の増減に関わることである。児童の人数が学級数を決めるためのぎりぎりにある場合は気になるところだが、あと10人転入生が来ないと学級が増えないような状況では通常は心配がない。
にも関わらず、これを担任に児童数を確認させ、その合計を出して、報告をするような手間を取ると莫大な時間を必要とする。
ごくまれに、その小さな手間をどのくらいきっちりやろうとするかで、教頭職の時間は食われ方が変わってくる。分かりきっていることに確認をして、分かりきった数値を出すだけなのに。
そもそも行政としては、校区の中にいる児童数を把握しているはずなのに、なぜいちいち学校に報告させるのかよく分からない。