予定を立てることや計画を立てることは、他の動物にはない人間の強みを生かす大切な活動です。
人間がずうっと昔、まだお猿さんの仲間に近かったころは、今よりもずっと小さくて弱い存在だったそうです。
人間にはウサギのような長い耳があるわけでなく、虎やライオンのような牙や爪があるわけでもありません。馬やインパラのような早い足があるわけでもありません。
だから戦えば負けてしまうことの方が多いです。
しかし、人間にはほかの動物にない特徴がありました。それが脳です。
特にこの脳の一番外側の薄い部分が「大脳皮質」と呼ばれているのですが、ここが人間の脳とほかの動物の脳の大きな特徴です。
その中でも特に、前の方「前頭前野」と呼ばれる部分は、実は未来のことを予測し、今から何をすればいいか、準備をしたり計画を立てたりする能力が出せる部分です。
この予測する能力によって、人間は未来のことを考えることができるようになりました。
猫が「ああ、今おなかすいているけど、冬のために餌を我慢しておこう」なんて考えたりしません。今おなかがすけば食べますが、おなかがすかなければ食べない、それだけです。
この予測する能力によって、人間はほかの動物にはない発展を、することができるようになりました。
君たちに先のことを見越して行動しなさいとか、一週間の計画を立てなさい、とか次の運動会までにどんな準備をしたらいいか考えなさい、と言っているのは、この「予測する能力」を高めてほしいからです。
小さい時には目の前のことしか考えられなかったけど、次第に大きくなっていって、少しずつ未来のことが考えられるようになってきたはずです。はっきりわからなくても1年後や10年後をイメージしたり、計画票を作って行動するということは大切なことです。
予測する能力を高めることは、人間が人間らしい特徴を伸ばすことであり、自分の武器を強めることになるのです。
<補足>
人間の生物学的特徴については、ほかにもいくつかある。