体育の授業の前などに話をしていました。
これからサッカーの学習を始めるわけですが、始める前にお話をしておきます。
このクラスには、すでにサッカーを習っていて得意な人もいます。しかし、去年のサッカーの学習以来、サッカーボールを蹴るのは一年ぶりという人もいます。苦手どころか、ボールが怖いという人もいます。当たり前のことですよね。
サッカーを習っている人は、親からお金を出してもらい、場合によっては放課後や休みの日に送り迎えをしてもらいながら、時間をかけて練習してきたわけです。ほかの人よりも上手で当たり前です。学級の中で、うまさを見せびらかしてもちっとも自慢にはなりません。君たちの本当の相手は学級ではなく別のサッカーチームの中にいるのです。
さて、ここでみんなに問題です。
サッカーがすごく苦手な人がいたとします。その人が試合中に失敗してしまいました。
そしたら「ドンマイ、ドンマイ」と友だちが声をかけてくれるのですが、・・・
この時に誰から声をかけられると安心しますか。
1 仲がいいけど、自分と同じくらいサッカーが上手ではない人
2 それほど日頃は話さないけど、サッカーがとても上手な人
(挙手をさせると、高学年なら圧倒的に2が多い)
サッカーが得意な人は、ここに出番があるのです。
もし、君たちのおかげで学級のみんながサッカーが好きになったり、少しでも得意になったりして、サッカーの学習が終わったときに「楽しかったねえ」とみんなが言えるようになったら、ものすごく素晴らしいことだと思うのです。
サッカーを今習っていなくても、ちょっと自分は得意だし好きだと思う人もよろしく頼みますね。
<補足>
これは「ノブレスオブリージュ」というフランス語からヒントを得て作った。
「高貴なるものの義務」という意味で、かつて貴族は日頃領主として君臨しているが、いざ戦争になったら身を挺して、我が土地の民を守らなければならない、という話だ。
力のある者こそ、他者に対してその力を生かせという意味で使っている。サッカーが得意な子どもが身分が高いという意味ではない。
また、この話をするときに語源である「ノブレスオブリージュ」の話をする必要もない。