算数テストの裏の問題は、「思考・判断・表現」の問題となっていることが多い。
この裏の問題は、おそらく多くの学級で点数が取れない。伝え聞く話では、学年や単元によっては0点のオンパレードになることもあるようだ。
これらの問題を、テストの解き方対策だけで点数を上げるのは、はっきり言えば無理である。すでにテストの前に勝負が決まっているといってもいい。
つまりここで点数を上げるためには、テストに至るまでの授業のあり方にかかっている。
点数が上がらない最大の理由は、単元の指導計画にある。
多くの場合、この裏の問題は、単元の「まとめ」に相当するところから出題されている場合が多い。(もちろん、そうでない場合もある。)
単元の学習を進めていくときに、決められた時間内に収まらずにいると、このまとめの部分を軽く扱うことになってしまうことがある。
宿題にする、自分でやらせて答え合わせだけする、ひどい場合はやらないことすらあると聞く。
こうなる原因の一つに問題解決学習の存在がある。
問題解決学習は、その単元の冒頭の部分、例えば「筆算の考え方」などにおいて「自力解決」や「練り上げ」と称した考える時間がかなりとってある。
全体として「前が重たい」授業になってしまう。子どもたちに新しいことを教えるときは、試行錯誤よりもエラーレスの方がいい。教師が確実に教えていく方が、どの子どもにも同じように習得させることができる。
(この辺りの原理は、算数指導について別途述べていく。)
不要な遠回りのせいで授業時数が圧迫され、後半がどうしても窮屈になる。
その結果、まとめまで十分に指導が行きつかない現実がある。
これは教師の「指導原理」に対する大きな勘違いも原因である。
教師の中には「基礎がしっかりとできていれば、応用問題は解けるはず」と思い込んでいる人が一定数いる。
つまり、この算数の問題で言えば、「筆算の原理が分かっていれば、応用問題だって解けるはずである。だから、ここで子どもたちの実力を見るのだ。」と思っている。
実際に、そういう言葉を聞いたことがある。
これは、残念ながら間違いである。
バスケットボールで、ドリブルシュートの練習が完璧にできれば、試合でドリブルシュートを使いこなせるかと言えば、無理である。
一つの技能を身につけても、それを他のさまざまな技能と組み合わせ瞬時に使いこなすのは、また別次元の問題である。
だからスポーツにおいては、練習試合や試合形式の練習という方法を通して、技能の統合を図る場があるのだ。
算数のような教科でも同じである。
身につけた筆算の技能と考え方を使いこなすようにするための場が必要である。
それが単元で言えば「まとめ」にあたる。
だから、本当ならば単元計画の中でもこの「まとめ」を十分に扱えるように時間を確保すべきである。
私は、最低2回は問題が解けるように計画を組んでいた。
1回は授業で、1回は家庭学習である。単元によって、先に一度家庭学習でやらせたと、答え合わせとやり直しを授業でする場合もある。授業で一緒に解いて、「家でもう一度自分で解きなさい。」と指示する場合もある。
いずれにおいても、まとめに出てくる問題をどの子どもも解けるレベルにして単元を終了するようにしなければ、テストの裏は解けない。
練習時間が足りないからと、基礎練習ばかりやって試合形式の練習をしなければ、上達しないのである。
教科書によっては、巻末にさらに発展問題が掲載されていることもある。理想を言えば、そうした問題も取り組ませたうえで、テストに臨ませるくらいの余裕がほしい。
「子どもの実力を見るために、初出の問題だが解かせてみよう」という発想は、少なくともテストにおいてはするべきではない。
結果として、実力のある子どもではなく、塾や通信教育をやっている子どもたちが点数を取るだけである。教師の微妙な言い訳と誤解によって、結果的に塾や通信教育を助長する学校教育になっている。
自分が子どもの頃から成績がよかった教師には、意外にそのあたりの感覚がわからないである。
子どもを評価するなら、子どもたちの大半がその課題に取り組み、一定の成果をだしていることを確認の上で実施するべきである。
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テストの解き方・最低限の知識
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テスト保管方法
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国語のテストの解き方4 言語の問題
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算数のテストの解き方1 ミスとの闘いに勝つ
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理科のテストの解き方
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