教師が、「自学のできる子どもたちになってもらいたい」と考えて取り組んでいくのであれば、一つの指針がある。
学校の授業時間を1時間でいいから使って「今から自学をしなさい。」と一言だけ指示を出す。
その指示で、子どもたちがどんな活動をするのか。
その姿こそが、子どもたちの自学の力そのものである。実際にやってみなくても、担任であればある程度の想像はつくかもしれない。
何の条件も付けずに一言指示を出しただけで、子どもたちがそれぞれに自分のすることを決め、個別の学習で一定時間集中して取り組むことができるのなら、総じて自学の力はあるだろうと推定できる。
反対に、何をしていいのか分からない子ども、取り組んでいるものの明らかに時間つぶしにしか見えないような取り組みをしている子ども、5分と持たずに騒ぎ出す子どもばかりであれば、自学の力はまだ身に付いていないと推定できる。
もちろん、子どもたちによってばらつきはあるだろう。しかし、ある程度の傾向はつかめるはずだ。
すなわち、学習時間にできないことが、家庭学習でできるわけがない。
学校という本来学習する場において、授業という一定の緊張のある時間の中でも、できない自学が、くつろぎのんびり過ごす場であるはずの家庭でやれというのが無理な話なのだ。
こう考えると、一つの結論が出る。
自学の力は、まず学校で育てるべきものなのである。
学校の授業の中において、ある程度の学習であれば個々の子どもたちが自分で進められるような力を身につけさせ、それを家庭学習にも転用できるようにする、という段階を踏まなければならない。
安易に丸投げをすると、子どもたちは「適当に手を抜く」ということを学ぶだけである。