九九表を持たせる2
九九表を積極的に使わせながら、割り算の筆算の手順を覚えていく。
これを繰り返していくうちに、いつのまにか九九の方もできるようになって来るのである。先に述べた「他の技術との併用」をしていくうちに、個々の単独の技術も習得していくというパターンである。
人間の脳はどうやらそういう構造になっているようである。
大人がいつの間にか九九を覚えているのも、こうした脳の構造のおかげなのだろうと思う。今の大人も九九そのものを学習したのは2年生だけであろう。にもかかわらずいつの間にかすらすらと言えるようになっている。それ以降の算数や数学の学習で使ったり、日常生活で計算しているうちに、記憶が定着していくのだ。
(だから3年生や4年生の子どもが今完全でなくても心配しなくてもいいのだ。)
テストの時も使っていいと話していたにも関わらず、本当に必要な子どもの数は思ったよりも減ってきていることに気づく。
九九表を持たせることは、できる子どもたちにも有効である。
できるけれども、雑でミスをよくする子どもたちがいる。こういう子どもたちは九九表を使わない。
しかし、ミスは生じる。
そうした子どもたちを意識し、学習の前に教師が話しておく。
「先生は、できないことを悪いことだは思っていません。だからこうして九九表を使ってもいいと渡しています。どんどん使ってください。
反対に「使ってもいい」と言っているのに、使わないで間違える人がいます。そういう人たちには厳しく言います。
だってそうでしょう。見てもいいから、ていねいにやりなさいと言っているのに、見ずにやってまちがうのですから。先生はていねいさが大切だと思っているのです。」
こうして日々の学習を重ねていくと、学級全体のていねいに取り組むようになり、テストの結果もよくなる。日々の学習でもみんなができるようになっていく。
もちろん、九九表を見ることをバカにするという雰囲気にもならない。