統合
一つの学習に集中して取り組むと、他のことができなくなるという現象が起きる。
4年生の割り算の筆算を例にあげる。
割る数が2桁になると、商の立て方が複雑になってくる。
十の位の数字を見て、すぐに見当がつくパターン。
仮商を立てて、1つ下方修正する場合。2つ下方修正する場合。
仮商をたてて、1つ上方修正する場合。2つ上方修正する場合。
子どもたちにしてみれば、かなり面倒である。
これを計算ドリルで練習すると仮定しよう。
ある日に仮商から1つ下方修正を学んだとする、この日の宿題には、下方修正1つ分のページがドリルで出されることになるだろう。子どもたちが20問程度それを解く。
次の日に、仮商から2つ下方修正する方法を学んだとする。同じく、計算ドリルで20問程度練習する。
そうすると、時々、すでに学習しているすぐに見当がつく問題が混乱してできなくなる子どもが出てくる。
これは、一つの学習に一定の量以上の練習をしたときに起こるパターン化が原因ではないかと推察している。下方修正2回の練習をしている子どもたちは、後半すでに、「商は2回修正するもの」というパターンに陥っている。どういう時に2回修正だったかという認識がうすれ、ともかくこなす思考に陥っている。
割り算の筆算には様々なパターンがあるから、最終的にはどのパターンが出てきても、最適な方法を選択して処理するという能力が必要となる。
私はそれを仮に「統合する」と呼んでいる。さまざまなパターンを学習した後に、状況に応じて使い分ける能力である。
この能力を身につけるためには、やはり多様な問題に同時期に接する機会が必要となる。おすすめなのは、単元の末にまとめの問題である。そこに出てくる計算問題は、全てのパターンが含まれている。これを、時間を決めて一気にやらせてみる。子どもたちが問題応じて対応方法を変えていれば問題ないだろう。