演算決定その2
子どもたちをさらに混乱させるのが、割合の学習である。
演算決定という視点で見ると、この単元は他にない特徴がある。
求める答えによって式はかけ算の場合も、割り算の場合もあり、しかもわり算はどちらの数がわる数で、どちらの数がわられる数かも判断しなければならない。
割合には三つの用法がある。すなわち
比較量=基準量×倍
基準量=比較量÷倍
倍=比較量÷基準量 の3つである。
これが同時に出てくるために、一つの単元の中で演算決定をしなければならなくなる。しかもわり算の場合にはどちらがわる数なのかを決めなければならない。
立式の根拠は、文章の中にしかない。つまり、問題文を読まなければ、式を立てることは不可能なのである。
兄は50円、弟は100円持っています。兄は弟の何倍ですか
という問題があったとする。この問題の演算を決定する文章は「兄は弟の」である。これが
逆の「弟は兄の」であれば式は反対になる。
この問題をよく読まずにいると「兄弟なら兄の方が多いだろうから、100÷50=2で、答えは2倍」とする子どもが必ず一定数いる。正解は「50÷100=0.5」である。
あるいは
弟は100円持っています。弟は兄の2倍もっています。兄はいくらですか。
という問題があったとする。この問題の演算決定も「弟は兄の2倍」である。ここから式を導かねばならない。
にもかかわらず、「兄の方が多いだろう」と思い込むと「100×2=200 答えは200円」としてします。
問題に出てくる二数を見るだけで式を立てるような不確かな読み方では、この割合の問題で大きく転ぶのである。