アルゴリズム
筆算ができない理由を二つ上げる。
一つが「一桁の加減乗除」が不十分であること。
もう一つが計算の手順つまりアルゴリズムの定着が不安定であること。
一桁の加減乗除についてはこれまでも述べてきた。
もう一つの「アルゴリズムの定着」についてである。
筆算は、一桁の加減乗除を決まった順序に従い組み合わせていくことで正解が出る。
だから、まずこの順序を確実に覚えること。
そして、どんな数字になっても、その順序を見失わず実行できること。
この二つができていれば、どの子どももできるようになる。
この原理によると、計算練習はむしろ大量にさせてはいけないのである。計算ドリルを何回も繰り返し、その上プリントによる宿題の追加など全く不要である。
大量の問題を課すと、子どもたちはそれを処理することが第一義的な目標となる。簡単に言えば、雑だろうがミスしようが終わればいいとなる。個々の計算の中に潜んでいるミスの原因を明らかにしようともせず、ただノートやプリントに大量の計算の「痕跡」が残っていればいいと思っている。
そう思わせているのは教師なのだが。
計算の手順を確実に身につけさせたければ、課題は少量にすべきなのである。
代わりに、ミスをしないで確実に解くことを要求する。
「今日の宿題は、割り算の筆算5問です。教科書の問題をもう一度解きましょう。
先生が明日見せてもらいたいのは、ていねいに書いてあること、自分で答え合わせをしていること、間違えたらやり直しをしていること、この3つです。」
と伝える。
翌日の宿題チェックは、隣同士にさせてもいいくらい簡単で素早く終わる。
教科書と同じ問題を出すと単に写すだけの子どもが出るのではないか、という心配性の人がいる。できる子どもは写すよりも早いので写さない。自信のない子どもが写そうとする。しかし、処理することが目的ではなく、自分ができるようになることが大切という学習本来の目標が理解できるようになるとずるはしなくなる。