地元には「もくもく、きびきび、ぴかぴか」という掃除のための合言葉がある。
近隣の学校ではみな使っていたので、広まっているのかと思ったら、違う市の教師はほとんど知らなかったのでローカルルールなのだろう。
この言葉を見ていただいて分かると思うが、子どもたちの目標となる行動を示した言葉である。
シンプルで分かりやすいと私も思うのだが、気になることがあったので、子どもたちに聞いてみたことがある。
「この3つの言葉の中で、一番大切なのはどの言葉ですか。」
すると、驚いたことにかなり多くの子どもたちが「もくもく」つまり静かに掃除をすることが一番大切だと思っているのである。
どうやら、「もくもく」が一番初めに来ているので、これが一番大切だと思うようだ。分からないでもない。
もう一つが「もくもくそうじをしよう」という生徒指導の目標が、しばしば学校の中に登場するからである。子どもたちは静かに掃除をすることが一番大切だと思っている。
これは指導しなければならない。原理を間違えている。
6年生にした話である。
「掃除をするのだから、ぴかぴかにするのが一番の目的に決まっています。きちんときれいにできるのなら、おしゃべりをしているかどうかなど、どうでもいいことなのです。
しかし、低学年のうちは口が動くと手が止まってしまいます。口が止まっていると、手が動くようになるのです。だから分かりやすくするために「もくもく掃除」と言っているだけです。」
上記の説明が本当かどうかは分からない。
しかし、そうでも言わないと子どもたちに間違った価値観を受け付けてしまいかねない。
教師ですら勘違いをしているように見える人がちらほらいるからである。実際に同僚に話をしてみたが、納得してくれることがあまりなかった。
どんな活動であれ、まずはその第一目標が達成されるように意識もエネルギーも時間も注入するべきである。掃除であれば、きれいにすること、それ以外はないだろう。
静かにさせるために掃除をするというのは、おかしな目標である。
清掃指導ラインナップ
一から十まで教える清掃指導
目標を明確にする清掃指導
本末転倒の清掃指導
清掃指導(ほうきの使い方)
清掃指導(ぞうきんの使い方)
清掃指導(安全な机移動)
清掃指導(机移動の段取り)
清掃指導(廊下掃除の段取り)
清掃指導(教室掃除の段取り)
清掃指導(除草作業と外掃除)
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