2 漢字指導のステップ
以下のステップになります。
(1)指書き (2)なぞり書き (3)写し書き →ここまでが新出漢字の練習 (4)練習 (5)テスト |
繰り返しますが、指書きの段階で勝負の大半は決まっているのです。
2-1 指書き
目 標 全員が、筆順を声に出しながら、整った字形で、テンポよく テキストを見ずに指書きができる ・・・・・ということを教師が把握している。 |
大切なことは「教師が把握している」ことです。教師が見ていなければ、子どもたちは指書きを手抜きします。(いえ、見ていても手抜きしています。)
これが毎回できていれば、それだけで習得率は格段に上がります。
①全員が・・・実は言われた通りにやっていない子どもはかなりいます。
②筆順を声に出しながら・・・これが「折れ」「はね」などの指導に直結しています。
③整った字形・・・空中に書かせると一目瞭然です。
④テンポよく・・・遅いと子どもたちはすぐに飽きます。
⑤テキストを見ずに・・・覚えているかどうかのチェックポイントです。
(1)スキル
半分に折って使います。
余計な情報を入れない、という特別支援教育としての視点と、机のスペースを空けるという、という視点の二つから徹底してください。
漢字練習に必要のないものは全て片付けさせます。国語の教科書すら不要です。
(2)例文
新出漢字には例文が出ています。1,2回読ませるだけでいいです。
あくまでも導入としての意識付けです。この音読の声で学級の様子が分かります。
これを使いこなさせるのは、もっと後になってからで十分です。
(3)指書き
机の上に書かせる方法と空中に書かせる方法の二つがあります。
机の上に書かせるときは
出す指は、人差し指一本。(他の指が出ていると目線がちらつく) 指の腹を机にしっかりと当てる。 大きさはお習字の大きさくらい。 スキルを折り曲げて机の上にスペースを作る。 筆順は声に出す。 何度も書いて、テキストを見ずに書く。机の上に文字が浮かんだら合格。 時間で切るか、回数で切るか、「やめ」と指示するかは、教師の選択による。 |
空中に書かせるときは
教師に向かって指を出す。 大きさはお習字の大きさくらい。 筆順を声に出す。 肘をついたり、手首だけで書いたりしない。 「用意!」と言って指を出させた瞬間に、テキストに目がいく子は覚えていない。 |
通常、多くの場合は
机にしばらく書かせて、空中で書いて確認、というパターンが多い。
簡単な文字やすぐにできそうな場合は
どちらかだけで、終わってもいい。
学級全体の習得率が高くなるほど、空中で書いたときの動きがきれいにそろう。
→ これが一つの目標。
<おまけの話>
シンクロ書き
となりと一緒に指書きをする。うろ覚えだとそろわない。けっこう楽しい。
時々、ゲーム感覚でやらせる。
「とめ」「はね」「はらい」「おれ」の指導は指書きの段階で行う。
毎回全てをきちんとしなくていい。気をつけるところが二、三カ所あればいい。
2-2 なぞり書き・写し書き
ここでようやく鉛筆をもちます。
指書きの重要性 鉛筆をもって文字を書くという作業そのものが、脳に一定の負担をかけます。 指書きを先にすることで、「漢字を覚える」ことに脳を集中させるのです。 覚えたところで、鉛筆を使うということを脳に指示することを意味します。 |
なぞり書き・写し書きの目標
指書きによっておよそ覚えた文字を、鉛筆を使って、正確に捉えていくこと。
ここではていねいさが最も重要です。同時に、速さも必要です。
全部で4回書きますから、回を重ねるごとに早くなるように仕組みます。
※教師のチェック
①必ず授業中に持ってこさせてチェックします。間違いはその場で指導します。
放課後の点検では、遅すぎです。
②間違えそうなところを想定して、そこだけを見るように心がけてください。
全員を見終わるのに、1分程度です。
③指導したところは必ず徹底してください。やっていないときはやり直しです。
「とめ」に気をつけるよう指示ししたら必ずチェックします。
子どもたちの字形を整えるのはこのチャンスしかありません。一瞬が勝負です。