1 床の拭き方
ぞうきんは半分に折って使う。
半分に折ったぞうきんを広げた片方の手で軽く抑えるように持つ。
床に膝をついて、左右にぞうきんを動かしながら、下がっていく。
左右に動かす幅は自分の肩幅よりも少し広いくらいがいい。狭すぎると、一度に済ませることのできる範囲が少なくなるし、広すぎると雑になる。
ぞうきんは軽く抑える程度でいい。日頃から掃除が行き届いていれば、それほど力を入れなくても十分にきれいになる。
ぞうきんを左端から右端に動かしたら、そのぞうきん一つ分だけ手前に引き、右端から左端に動かす。左端にいったら同じくぞうきん一つ分だけ手前に引く。
車のワイパーのように弧を描くように動かすのではなく、真横に動かす。
疲れてきたり、面倒になってきたりするとジグザグに動かして隙間が空いてくる。教師はそれだけを指摘する。
「力をいれなくていいよ、軽くなでるように拭くだけでいいから。代わりに、隙間がないようにぞうきんを動かして。」
と声をかける。上手な子どもたちは、自然な姿勢でリズミカルにぞうきんを動かし、あっという間に噴き上げていく。
複数の担当がいたら、互いが吹き残しがないよう、少しだけ重なるように拭くことを指示する。そして、同じ方向に同じリズムで動かすようにすると、隙間も空かず、決められた場所をくまなく拭き上げることができる。
この方法を教えたら、教室前の廊下の長さ程度なら2人で数分で終わる。
あっという間に終わるのだが、仕上がりは確実にきれいになる。
時折、給食をこぼした跡などが残っている場合がある。一度拭き上げた後で、とれなかった部分だけを見つけてこすり落とすように指導すればいい。
2 すみずみの汚れの取り方
子どもたちに「指ぞうきん」という名称で教えている。
人差し指を出した手にぞうきんをかぶせるように当てて、その指先で細かいところを吹いていく。
窓のさん、窓枠のレールの部分、などを拭くときに便利な方法である。
この方法は、ぞうきんという道具の使い方を教えるというよりは、このような隅々も気を付けてみていくと汚れが発見できるし、それを取り除くこともできるという「見え方」「掃除の仕方」を教えるのに役立つ。
子どもたちは「ぞうきんは床を拭く道具」だと思っている。その使い方しか指導されてきていないのだろう。窓枠やさんを拭くという発想すらない場合が多い。
そこでこのやり方を教えておけば、以後「指ぞうきんで拭いてください。」と指示するだけで、掃除できる範囲が格段に広がるのである。
一度細かいところに目が行くようになれば、あとは視野が広がる。ぞうきん一枚できれいにできる場所がかなり広いということに気づいていくのである。
床を拭いても、ゆびぞうきんで細かいところの汚れをとっても、正しいやり方で取り組めば、ぞうきんが汚れる。
子どもたちには
「こんなにぞうきんがよごれたということは、それだけきれいになったところが増えたんだよね。」
とほめる。そのうちに、子どもたちが汚れたぞうきんを見せに来るようになる。
自分たちの努力の跡がそこに見えているからである。教師は大いにほめよう。
そもそも廊下や教室も、絵具や泥などが落ちていて、それを拭き上げるというのでなければ、ぞうきんがけをしてもきれいになったのかどうかが、よく分からないのである。
しかし、ぞうきんを見れば確かに汚れている。子どもたちはぞうきんの汚れを見て自分のしてきたことが初めて分かるのである。
清掃指導ラインナップ
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