時間いっぱいがんばりましょう。
という指導がよくなされる。これまでの勤務校でも、あちこちで聞かされた。
要するにサボってはいけない、休んではいけないという指導なのだろう。
しかし、これはおかしな指導である。
子どもに悪意があるなら、(あるいは賢い子どもなら)一生懸命掃除をしない方がいいのではないかという発想になってもおかしなくない。
自分たちなりに工夫して短い時間で所定の目標が達成されたのであれば、当然早く終わっていいはずである。それを奨励すれば子どもたちに速く終わるためにどうしたらいいかを工夫することだろう。
かつて社会主義の国の話を聞いたことがある。
机の生産をする工場では、作業量を重さでカウントしていた。
その結果、工場ではより重い机を作るようになった。そうすればたくさんの量をこなさなくてもいいという発想からである。
実話かどうかは確かではないが、人間の心理をよく表していると思う。
子どもはそれほどずるがしこくないから、「時間いっぱい」と指導すれば、何か見つけて作業を継続するのではないかと期待しているのだろうと思う。
しかし、仮に子どもがずるがしこくなくても、悪意の作用する可能性は除去すべきだろう。
わざとのんびりやっている子どもたちを見つけて叱ったら「時間いっぱいやっています。」と言い訳させるのは、教師の指導の方が問題なのである。
この場合、子どもたちに何ができればゴールなのかを示していないことが問題なのである。
先の「もくもく」と同様に、手段が目的化している。黙って、時間まで掃除場所にいたらそれでいいわけではない。
繰り返すが、きれいにするために掃除をするのだ。
どこを、どんな方法で、どれだけの時間を使って、どこまできれいにするのかを子どもたちに明確に伝えないと、こんなあいまいな目標が出てくる。
ちなみに子どもに示す目標は、いつもの活動よりも後ほんの少し努力したら完璧になる、と子どもが思うレベルを設定するのがいい。
そうすると達成するために、自然に「もくもく きびきび ぴかぴか」の姿になっていくし、時間いっぱい活動するようになる。
清掃指導ラインナップ
一から十まで教える清掃指導
目標を明確にする清掃指導
本末転倒の清掃指導
清掃指導(ほうきの使い方)
清掃指導(ぞうきんの使い方)
清掃指導(安全な机移動)
清掃指導(机移動の段取り)
清掃指導(廊下掃除の段取り)
清掃指導(教室掃除の段取り)
清掃指導(除草作業と外掃除)
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