日記指導の基本設定

教育技術シリーズ

 日記というのは、本来日々のできごとや思ったことを書き綴っていくものである。だから、子どもたちにも丸投げすれば、毎日「何をしたか」だけを書くようになる。
 学校の中でもいわゆる「生活作文」を書かせることは多い。しかし、日々の生活を情緒豊かにつづるだけが文章ではない。
 文章にはさまざまなジャンルがある。説明、論述、批判、随筆、などなど。昨今の国語指導の内容も、生活作文だけではなく多様な内容を含めている。

 日記も同じである。書かせるなら、多様なものを書かせたい。
 そこで、毎回のテーマは教師が出すことにしていた。子どもたちはそのテーマに沿って書いてくるのである。
 この「教師がテーマを出す」ことに価値もあるし、おもしろさもあると思っている。

 子どもが考えたことがなかったようなテーマを出すことで、改めて物事見直すという経験ができる。そのたびに子どもたちも多様な見方や考え方をしてくるようになる。

 こうした活動は国語の学習だけではできない。
 また他教科の学習でもミニ作文のような課題を付けることも可能だが、これだと教科の内容に引っ張られる。
 教科の学習に連動させることもあるが、多くはあえて教育課程とは別にたテーマを選ぶことが多い。

 国語からも他教科からも一定の距離を置くことで、純粋に文章をつづるという活動がくっきりと見えてくる。
 推敲していい作品に仕上げていくという方法は採らなかった。出されたテーマで一気に書き上げていくという方法が基本である。時折同じテーマで書かせることもあったが、それは推敲が目的なのではない。

 誤字脱字はある程度多めに見ていた。
 正確に書くことが第一の目的ではないからだ。文章は、書き慣れていく中でミスが減る側面もある。正しく書くに越したことはない。
 しかし、一定量の分量を書かせながら、内容も吟味し、構成も考え、時に漢字を思い出しつつ書き、それでいて、誤字脱字まで気を付けよというのは、もはや何を目的に書かせているのか分からなくなる。子どもたちの負担も大きすぎる。楽しくない活動になる。

 保護者にもその旨は伝えていた。もちろん私も気づけば赤鉛筆で修正を入れていたが、読むときにはそこに力点を置いていたわけではないので、見落としもあっただろう。
 それでも日々書き続けることに意味があると考えて、実践を続けてきた。

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