音読は座ってさせるときと、立ってさせるときがある。
立っている方が、子どもたちは音読に集中する。子どもたちにしてみれば立っている方が非日常である。読み終われば(いつもどおりの)座った状態になれるので、そこを目指して読み終わってしまおうと思うのだろう。
指示は、
「教科書〇ページの〇〇まで読んだら座りなさい。」
だけでいい。「立ちましょう。」や「はじめ!」の声掛けも不要である。「読んだら座りなさい。」という言葉には、「立って読む」という前提が含まれているし、指示が出されると同時にスタートの合図だという暗黙のルールが確定していれば、これで十分に行ける。
立って読ませるのは、始業の時など説明せずに授業に集中させるときに使う方法である。
授業が始まっているのに、子どもたちがまだざわついていたりする時に、前置きもせずにこの指示を出すといい。
すでに子どもたちが授業モードに入っているなら、むしろ立つことによるリズムの乱れがきになるので、座ったままで読ませることが多い。
教科書は基本的に両手で持つ。ただ、中には指でたどらないと、読みにくい子どももいるので、指でたどることを認めている場合は、片手で持ってもいいことにしている。
算数の定義や公式などは、必要に応じてノートに書かせるが、教科書の言葉をそのまま使わせることが多い。この時には、いきなり写させるのではなく、二度ほど音読をさせる。
「大切なところだから二回読んだら座りなさい。」
と指示をして読ませる。ほぼ全員が読み終わったところで、
「今読んだところを、ノートにそっくり写しなさい。」
と追加指示をする。
子どもたちは一度読んでいるので、写すのも速い。読ませる時間を取ったにしても十分に効率がいい。視覚入力と聴覚入力の両方を行ったと言える。
こうした活動を何度かやっておくと、子どもたちは「次は写すのだ」と予想し、読み方もていねいになる。
こうして音読そのものに価値や意味があることを子どもが理解し、授業の中で何度も取り組んでいけば、家で目的なく回数だけを稼ぐような形式な練習よりもはるかに短い時間で効果をあげることができる。
音読指導ラインナップ
00 教室で行う音読指導
01 声を出させる音読指導
02 全体から個別への音読指導
03 個から自立への音読指導
04 集団に埋もれさせない音読指導
05 1文から始める音読指導
06 あらゆる教科でできる音読指導
07 微細にこだわる音読指導
08 黙読へ向かう音読指導
09 詰めにこだわる音読指導
10 進化した音読
11 暗唱と連動した音読指導
12 他教科へ波及する音読
13 裏技の音読指導
おまけ 音読の宿題は保護者に恨まれる
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