教室の音読指導は、1文の指導から始める。1文が上手になれば、それは2文、3文へと発展する。そして、継続的な取り組みの中で汎用性が高くなっていく。
国語の授業で音読を行うとき、まずは冒頭の1文だけを扱う。題名だけでもいいし、反対に冒頭の一文が短いと思えば、2文扱ってもよい。
読ませては修正していくという作業をテンポよく進めていくために、適切な分量があればいい。
声の出し方や集団から個別への指導の仕方は、すでに述べている。
※参照 「初めの目的は声」
「全体から個別への音読指導」
「個から自立への音読指導」
「集団に埋もれさせない音読指導」
一文を読ませるときに、できるだけ句読点だけで切らせるようにするといい。
何も指導しないと、子どもたちは文節単位でぶつ切りにしながら読む。それも「教室節」と揶揄されるような独特のはねあげるような読み方をする。
モデルとなる読み方を教師が行い、それを聞きながらまねするように指導を入れておくのが効果的だ。これは、初期の段階でなおしておかないと、教室全体に癖がつく。
集団での練習は、全体を自然に高めていくのに効果的だ。全体が上手になれば、自然と個々の能力も高くなるし、全体が速く読めるようになれば、個々の速さも上がってくる。
反対に、全体におかしな癖が残れば、それを外すのが後になるほど難しくなる。
文章によっては、句読点の感覚があまりに長く、息がつけない場合もあるので、そこは教師が調整してもいい。
句読点で切ることをそろえると、一斉に音読をしているとき、そこでそろえることができるようになる。句読点で切ることは、一斉に音読をするための方法である。
だから、個人で読むときには、それほどこだわらなくていいと指導している。むしろ、切らずに一気に読む方が頭に入りやすい。
そうして、読み方を整えていきながら次第にスピードも上げていくといい。
慣れてきたら、そのまま2文続けて読ませてみる。ほぼ同じ流れていけるはずだ。修正箇所があれば、そこだけ部分的に指導し、また2文読ませる。
それからさらに3文連続、そして1ページ連続で読ませてみる。声や速さ、句読点の霧などが続けて合格できれば、かなりの水準だ。
そこで、今度は全く違うページに飛んで読ませてみるといい。少し、レベルが落ちる。そしてまた部分的に修正する。それを繰り返すうちに数か月もすればどこを読んでも上手に読めるようになってくる。
音読の指導は、やろうと思えば45分間続けることも可能だろうが、初期の段階で基本的な指導を終えたら、後の日々の指導は5分もすれば十分である。短く、何度も、しつこく繰り返して声や速さ、ていねいさを指導していく方が効果がある。
音読指導ラインナップ
00 教室で行う音読指導
01 声を出させる音読指導
02 全体から個別への音読指導
03 個から自立への音読指導
04 集団に埋もれさせない音読指導
05 1文から始める音読指導
06 あらゆる教科でできる音読指導
07 微細にこだわる音読指導
08 黙読へ向かう音読指導
09 詰めにこだわる音読指導
10 進化した音読
11 暗唱と連動した音読指導
12 他教科へ波及する音読
13 裏技の音読指導
おまけ 音読の宿題は保護者に恨まれる
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