漠然と優先順位を決めない

働き方改革

 時々、不思議な場面に出くわす。

 遅くまで何人もの教師が残って仕事をしている。もちろん忙しいからだろう。
 そのうち、1人帰り、2人帰りと人数が減ってくる。
 いよいよあと数人になったところで、ある1人が「自分もそろそろ帰ります。」と言う。

 すると、まだ仕事をしていた人も
「じゃあ、今日は終わりにしようかな。」
 と仕事を打ち切って、片付け始める。

 よくある風景ではないだろうか。

 これは、改めて考えると不思議な話だ。
 例えば「今日は8時に帰る」と決めて、そこまで仕事をする、終わらなければ明日続きをするというのであればまだわかる。
 しかし、他人が帰るのが理由で、打ち切ることができる仕事の段取りとは、どんな段取りだろうか。その帰る時間は突然のようにやってくるのである。

 教師の仕事は、高い理想を持てば持つほど、無限に続く。
 そもそも教材研究は無限に続くのだ。(参照「無限に続く教材研究」
 頭の中には「あれもやりたい。」「これもやれれば。」といつも思っている。
 描く理想の仕事を完遂するには、とても時間が足りない。365日24時間働き続けても、足らないかもしれないくらいの理想はある。

 しかし、実際はそんな仕事はできるわけもない。
 だから、頭の中ではいつも「できるだけ」と思ってしまいがちになる。

 その結果、何時まで残業して、どこまでやるかという明確な期限を切っていない場合が生じる。特に、帰宅の必要性があまりない場合はなおさらである。
 毎日「できるだけ」という漠然とした期限を切って仕事をすることになる。

 その結果、結局最後までできずに終わった仕事もあるだろう。
 (多くの場合、教材研究が中途半端に終わることが多い。)
 反対に想像以上に進んだ仕事もあるかもしれない。

 ここでもし、退勤時刻が一斉に決められ、強制的に退勤させられるような状況で仕事をすることになれば、どうなるだろうか。
 私は、その中でできることを選ぶようになると思っている。
 つまり自分の「優先順位」をきっちりと決めて、できることにエネルギーを集中させ、無理なことはさっぱりとあきらめるようになる可能性が高いと思っている。

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