ハードル走2
この低学年用ハードルを、走り抜ける練習をして驚いたことがある。
なんと、この練習を繰り返しているうちに、何もハードルのない短距離走が速くなっていたのである。
先にも述べたように、初めに短距離走の記録を測っておいた。そしてミニハードルを走り抜ける練習を何度かしたのちに記録を測った。短距離走との時間差が限りなくゼロならそれが合格である。
ところが、その図ったタイムが短距離走よりも早くなっているのである。
初めは測り間違えたかと思ったが、そうした逆転現象が何人も出てくる。どうやら、ミニハードルの練習は短距離走にも効果があるらしい。
一つは単純に走る練習を繰り返すからだろう。高学年になると、運動機能が高まる。これまでも何度も違う種目でも述べてきたが、単純に運動を繰り返すだけで初期のころは上達してくる。子どもたちは何度も走るうちに走り慣れ、記録が伸びたのだろう。
もう一つ理由を考えた。
ミニハードルをまたぎこしながら走るためには歩幅を調整しなければならない。つまずかないようにタイミングを合わせる。
初めの頃は小走りにすることでタイミングを合わせていた子どもも、慣れてくると歩幅は大きくなる。歩幅を大きくするとスピードを落とさずに、またぎこせることに気づいていくのである。
この走るときの歩幅の大きさが、タイム短縮の原因になっていると推定した。いわゆるスライド走法である。足を動かす速度が変わらなければ、歩幅を大きくした方が一歩当たりの前に進む距離は当然伸びていく。
走っている間の歩幅が全て5cmでも10cmでも広がれば、合計すれば大きな距離につながる。すなわちそれだけ速く走れることになるのだ。
それに気づいてからは、気のせいだろうか何だか子どもたちの走り方のフォームが違うように見えてくる。高学年の冬だと確かに四月からすれば大きくなっていくのだが、改めて走る姿を見直すと力強さや速さに乗っている感覚が伝わってくる。
走ることそのものに心地よさを感じる子どもが増えてきているのが、思わぬたからものになった。