体育指導52ハードル走1

ハードル走

 幅跳びと違って、ハードル走は跳んではいけない。子どもたちは、ぴょーん、ぴょーんという擬音語がぴったりくるようなリズム感で跳びながら進む。

 ハードル走をする子どもの隣を、何もないただの短距離走をする子を走らせ、二人を比べてみると分かる。跳躍するたびに差がつくのだ。ハードル走の子が一回跳んでいる間に、走る子は前に進んでいる。それを数回繰り返しているうちに、差が大きくなっている。

 ハードル走は、またぎこすようにして、走り抜けるイメージである。走っている姿を横から録画し、その映像の下半分を隠したら、ハードル走なのか短距離走なのか分からないような走り方になるのが目標である。

 ハードル走の学習で、フォームの指導から入る実践例をよく見る。フォームの指導は確かに大切であるが、そもそもなぜそのフォームでなければならないのか、子どもが分かっていなければ、練習の価値も半減する。

 先に述べたように、ハードル走のタイムを上げるためにはどんな走り方が理想的なのかをまずイメージさせる。何も考えずにいると、跳んでしまうことに気づき、その跳んでいる時間にスピードが落ちていることを感覚的に分かっていくと、またぎこすような走り方が必要だと理解できる。そしてフォームの練習につながっていくのである。

 ハードル走の学習の伸びを見るには、学習の初めタイムと終わりのタイムを比べてどれだけ早くなっているかで確かめるだろう。

 これに加えて、ハードルのないただの短距離走のタイムも測っておく。短距離走のタイムは4月ごろに測っていて、ハードル走を冬に行うと、そもそも冬には単純に短距離走のタイムが伸びているときがある。子どもたちも何もしなくても成長するのだ。だから記録をもとに伸びを見たいなら、ハードル走を学習する時の短距離走の記録もあった方がいい。

 そして、短距離走とハードル走の時間差が限りなくゼロに近づくことを目標にして活動に取り組むようにするといい。

 通常のハードルを使う前に、低学年が使うような低いハードルを使う。

 それを置いたコースを走り抜ける練習をする。始めのうちは、この低さでもジャンプするように飛び越して走っていたが、やがて何もないように走り抜けるようになる。

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