走り幅跳び5
助走が始まったときから、視線は自分の決めたゴールを見続けていなければならない。
無意識のうちにそうやってゴールを決めているからだ。
太ももが上がるようになり、跳躍の角度がつくようになると、跳んでいる瞬間にゴールを見ることはできなくなる。足が邪魔で見えないからだ。
しかし、どこを見ているかを自覚させることは必ず確認することである。
次に助走である。
苦手な子ども、距離が伸びない子どもほど、助走をないがしろにしている。ジョギングのようなスピードで走ってきて記録が伸びるわけがない。
高学年になると幅跳びでの助走が極端に遅くなる子どもが一部出るようになる。一生懸命にやっても記録が出ないのであきらめています、というような空気を醸し出している。
これはサボっているとは限らない。全力疾走から跳躍という違う運動に移るときに、踏み切り地点がどこになるか考えるあまりに全力で走れなくなることもある。
同じ理由で、走り始めは全力なのに、跳ぶ瞬間に速度が落ちる子どももいる。
子どもたちには明確に伝えておかなければならない。
「記録を伸ばしたければ、全力で走ってこなければならない。それも、跳ぶ瞬間が一番スピードが速くければ意味がない。」
ふわっとした跳躍ができるようになったら、助走に意識を向けさせる。そのためには、どの場所からスタートすればいいか、一人一人が決めることができるようにする。
助走位置に並んでいると、自分が待っていた場所から走り始めるので、だんだん後ろからスタートするようになることもある。
並ぶ位置と、助走をスタートする位置は、ラインを引くなどして明確に分ける。
そして、自分が最も全力の出せるスタート位置を確かめるために、色の違うマーカーを並べて置いておくといい。さっきはこの色からスタートしたら、足が合わなかったので、一つ後ろからスタートしてみるというような、自分なりの試しができるようになる。
「原初的なおもしろさ」の体感から入り、跳躍時のフォーム、視線、助走など、構想要素に着目させながら、それぞれに自分の動きを確かめることで「分かるおもしろさ」から「できるおもしろさ」と導いていくという流れである。