走り幅跳び4
第1時では、「ふわっとした跳躍」という感覚を体感してもらうことに中心をおいた。これが高跳びの「原初的なおもしろさ」につながるという考えに基づいてである。
だから、まだ記録を測っていない。
学習の前後の伸びを見るために、一番初めにとりあえず記録を取っておくのはいいだろう。しかし、この跳躍の感覚をつかませるときに、記録はとらない。とれば、感覚を身につけることと記録を伸ばすことの両方に意識が行くようになり、どちらも失敗する。
跳び方がよくなってきたと思ったら、記録を取り始めていい。
ただこの段階では、運動量の確保の方が大切である。正確な記録を取り続けると、それだけ次の人が待つことになり、全体の運動量は減る。
高跳び同様に、単元の初期は「慣れの運動」を数多くこなす時期である。
教具に幅跳びを計測するための幅広いメジャーがあるだろうと思う。あれを砂場に置いたままにしておき、跳ぶたびにおよその距離がわかるようにしておく。それを見ながら、大体の記録がわかればいい。
正確に測るのは単元の終末である。
第2時も踏み切り板2枚組はセットはしておく。子どもたちは次第に使わなくなるし、教師も特別に奨励しない。なくても跳べることが最終ゴールだからだ。
跳躍に角度をつけることや、太ももを引き付けることに意識をもって跳べるようになってきたら、次に気を付けることは視線である。
走り幅跳びでも(おそらくどの運動でも)、視線がどこにあるかは想像以上に重要である。
走り幅跳びでは、視線の先つまり見えている場所よりも遠くに跳ぶことは絶対にない。見ることによって、そこを目的地に設定しているのだから、機械を使うなどして想定以上の距離が伸びない限り、目線の向こうまで跳ぶことは決してない。
余談だが、踏み切り板2枚で子どもたちは初めに驚いたのは、道具の力で今までになかった跳躍の角度を生まれたからである。「想像以上に跳んだ」という感覚である。
子どもたちに話をする。
「人は見ている先以上に記録は絶対伸びません。それより手前に着地することはあっても、より遠くにいくことはないのです。だから、どこを見ているかで限界がきまります。」