みんなと仲良くなる必要はない

子どもへの言葉

 あらかじめ話しておきます。

 先生は、学級のみんなと同じように仲良くなれとは言いません。そんなのは無理です。
 クラスのみんなと趣味が合い、クラスのみんなと共通の話題があり、クラスのみんなに同じような相談ができるなんてことはありません。

 はじめのころは家が近かったり、同じ幼稚園保育園だったり、親同士が仲良しで友だちができたりします。
 でもだんだん友だちが変わってきます。同じような考え方をしたり、同じ趣味を持ったり、体を動かすのが好きな人もいれば、本を読むのが好きな人もいます。そうやって、自分に合う友だちを見つけていくものです。

 ただ、仲良くないからと言って、一緒に勉強できないというのは話が別です。

 仲良しと同じグループでないと活動ができないとか、この人とは話をしたことがないから委員会活動はできませんということはあってはいけません。
 先生たちも、〇〇先生とは仲良くないから同学年は組めません、なんて言いません。

 学級で言う「みんな仲良く」というのは、その時の状況によって、誰とでもチームを組んだり、協力し合ってうまくいくようにするということです。
 そういう力を持っていることは成長していくうえで大切な武器になります。

<補足>

 この話は、「ネットワーク型学級経営」理論の根幹の部分を、子どもたちに具体的に話すための話題の一つである。 

 学級開きの「学校は勉強するところ、友だちと仲良くするところ」の続きで出てくる話である。
 その後も、委員会決め、修学旅行のグループ決めなどあらゆるところで原則として使っている。フォーマルとアンフォーマル、公と私、日常と非日常を使い分けることの意味を話している。

 同時に、ネットワーク理論の原則で言う「弱いつながり」の発展になる。

 子どもたちの関係は放置すれば、私に近づき、強いきずなになろうとする。教師はそれを壊すのではなく、授業という公の場で、さまざまなネットワークを構築していくことが、するべきことである。

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