まずは二人から
ネットワークの最小単位は、2人である。
2人の間に1本のネットワークが形成される。
これが、3人なら3本、4人なら6本、そして5人なら10本のネットワークとなり、数が増えるほどに複雑さは増していく。
だからネットワークの構築は、2人から始めるといい。
学級では、隣どうしというペアを作りやすい。
まずはこの隣どうしを生かしていく。座席は前後左右が異性になるように、配置をしておく。
小学生であっても、自然に任せると同性の方が近づきやすい。
こうした学級というフォーマルな場では、意図的に異性との接触ができるように教師が調整する。
「単純接触の効果」という心理学の理論がある。
接触の時間が長いほど、心理的な距離が近くなる、つまり仲良くなるということである。
この原理を積極的に活用する。
隣どうしで、学習の相談をさせる。
一緒に声をそろえて音読をさせる。
そろえて漢字の指書きをさせる。
外国語の学習で対話をさせる。
算数の答え合わせをさせる。
ノートの見せあいこをさせる等
こうした活動を日に何度も入れ込む。1回の時間は30秒もなくていい。漢字の指書きや音読、外国語の対話なども30秒もあれば、かなりの活動ができる。
長すぎると、逆にトラブルの原因になることもある。短く、何度も入れていく。
時には日記のテーマに隣の友だちのことを書かせたり、自己開示するようなゲームを取り入れたりもする。
これは、人は秘密を共有した人との心理的な距離が近くなる、という原理を活用した方法である。
2人だけのつながりという場を設定することで、仲良くするきっかけをつかむこともできる。
同時に、隣どうしの人間関係のマナーも教えておく。
例えば、物の貸し借りについてのルールを決めておく。
忘れ物をしたときは基本的に教師に借りに来る。
隣の人の力を借りたいときの声のかけるタイミングや内容も押さえておくといい。
困っている時に助けることや、仲良くなるための声のかけ方なども折に触れて話をしていく。
こうして、まず最小単位のネットワークである「ペア」を強化していく。
これを席替えのたびに行っていき、ネットワークを強化していく。
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