「交流活動」とネットワーク
学習において子どもどうしが話し合ったり、相談したりする活動を取り入れることがある。「交流活動」である。
ネットワーク構築から考えると、この交流活動は大きな意味がある。
結論から言えば、交流活動は学習というフォーマルな場を使って、子どもどうしのネットワークを強化する有効な方法となる。
交流活動は、内容によって目的が変わってくる。
隣どうしの交流は、2人組という最も基本的なネットワークを強化することが目的となる。別項を参照(「まず二人から」)
グループでの交流活動は、複数のメンバーによる比較的強いつながりを作ることが目的となる。グループによる調べ活動や修学旅行などのグループ編成などによって、目的を持った交流を行う。ここで、役割分担などを通して、複数メンバーとのネットワーク形成を学ぶことができる。
そして、座席を離れ自由に友だちと意見交換や教えあいをする交流では、弱いつながりを増やしたり、強めたりすることを目的としている。(別項を参照「強いつながりと弱いつながり」
休み時間であれば、話をしないような関係であっても、学習であれば話をさせることができる。
だから、学習における交流活動の場合は、教師が一定の条件をつけて行わせる。
例えば「5人と相談をしなさい。」「同じグループの人以外と相談しなさい。」「違う列の人と相談をしなさい。」などと接触の少ない子どもどうしをあえて組ませるようにする。
一定の条件の中であれば、自由に選択をしていいようにしておけば、無理な強制力も働かず、子どもたちの選択する自由も確保できる。
交流活動は、学力の定着のためだけに行うのではなく、こうしたネットワーク形成のためのコミュニケーション能力を育成することにとっても有効な方法となるだろう。
いずれ、子どもが自分の目的に応じて必要な人とコミュニケーションを取り、ネットワークを形成していけるよう、準備をしていると考えるといい。
交流活動を行うことで、学級におけるネットワークの密度は高くなる。今までになかったところにネットワークが形成され、弱かったネットワークも少しずつ強くなっていく。
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