教育現場に「生産性」という視点

働き方改革

 生産性とは単純に言うと、稼いだお金を働いた時間で割った数値で表す。すると、1時間あたりにどのくらい稼いだかというのが出てくる。
 もちろん、1時間あたりに稼いだお金が高い方がいい。
 つまりこれが生産性が高いということになる。

 日本の生産性は諸外国に比べて低い方だと言われている。
 日本は世界第3位の経済大国だが、これは他国と比べると人口が多いからである。
 だから、日本全体での稼いだお金を人口で割った、一人当たりの生産量は諸外国よりも落ちる。
 これをさらに労働時間で割ると、もっと落ちる。日本は残業を含めた労働時間が長いのである。

 以前に比べると、日本全体でも働き方改革が進んでいるようで、統計上では一人当たりの労働時間を単純に平均化すると短くなってきているようである。
 企業の中にも、この生産性という考え方を踏まえて、短い時間で収益を上げることを考えるところが増えているように聞く。全体としては少しずつですがいい方向に進んでいるのかもしれない。
(個々の仕事を見れば課題はいくらでもありますが。)

 さて、教師の仕事である。
 教師は公務員ですから、働き方を工夫しても給料はあがらない。一般公務員にはまだ残業手当というシステムがあるが、教師にはそれがないのはご存じのとおりである。

 どれだけ長い時間働いても給料は変わらないのだから、長く働くほど生産性は落ちていくことになる。

 数年目のある教師が自分の給料を勤務時間(本当に働いた時間)で割って見たそうだ。その金額は、大学時代のアルバイトよりもはるかに下だったという笑えない冗談だった。

 この話を、どう思うだろうか。若いうちはそういうものだと割り切りるだろうか。
 あえて大げさに言えば、若者の善意や熱意に依存して、学生時代のバイト以下の給料で現場を切り盛りしていると判断されても仕方がないのである。
 賢い若者が、教師を自分の仕事に選ばない理由の一つがこれかもしれないと思う。

 実は、年齢が上がっても、この数字はそれほど大きくは変わらない。ベテランの域に入っている人でも場合によっては、長く働けば1時間あたりの収入はかなり低いところになる可能性は十分にある。

 学校現場では、このような発想で仕事を見ることが皆無だからだ。

 

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